2015.11.23
今年8月末をもって、50年の歴史に幕を閉じたホテルオークラ東京本館。最終日は、多くのオークラファンに見守られ盛大にサヨナライベントも行われ、惜しまれつつ閉館と相成った。現在は、解体工事に着手している。
しかし!さよならの余韻も冷めやらぬ中、早くもホテルオークラ東京の新本館の、新しい顔となるロビーの意匠について、概ね計画が固まったとの発表があった!
東京オリンピックおもてなしの顔、オークラの新しい姿を早速レポートしよう。
旧本館に息づく「日本の伝統美」を継承
ホテルオークラ東京の本館建替計画では、最新の設備・機能への刷新を図りつつ、オークラが育んできた「日本の伝統美」を継承する。
館内の随所に見られた”美しく日本らしい”旧本館のインテリアや装飾は、面積が約2割ほど大きくなる新本館で再現される。
設計の大役を託されたのが、旧本館の設計を担当した谷口吉郎氏のご子息であり、東京国立博物館法隆寺宝物館等を手がけた谷口吉生氏のチームとのこと。旧本館に息づく「日本の伝統美」は、父から子の匠へ引き継がれ、また新たな形で生まれ変わるのだ。
再利用・再製作となる意匠・装飾が決定!
ホテルオークラ東京の象徴とも称される照明具「オークラ・ランターン」、満開の花のように見立てた「梅の花のテーブルと椅子」、六大陸各都市の時を刻み世界の賓客をお迎えしてきた「世界時計」、そして「行燈」などは再利用する。
また、色絵磁器の人間国宝 富本憲吉氏がデザインし、西陣の純絹のつづら錦に仕上げた「四弁花紋様の装飾」、「麻の葉紋の木組み格子」は、再利用が出来ないため、再製作することなった。
夢の架け橋というコンセプトで設計された「メザニン」(中二階)や、天井のデザインなども新本館に再現される。
先の谷口吉生氏はこう語っている。
「私は、ホテルオークラ50年の歴史を継承すると同時に、次の50年、100年も生き続けることができるデザインを目指す」
なんとも心強い言葉だ。
「具体的には、ロビーの中に現在の本館ロビーを復元しつつ、現代にふさわしいロビーとして生まれ変わらせます。また、ロビーの前には、ホテル2棟とランドマークとなる大倉集古館によって構成する新しい広場を設計します」
これは期待が高まる!
それでは、継承される代表的な本館ロビーの意匠、装飾を一つずつご紹介!
【切子玉型】(オークラ・ランターン)
古墳時代の飾り玉に見られる切子玉型をデザインしたもので、五角形の板を10枚つなぎ合わせて切子型とし、五連つなげて一つとしている。ランターンは別館ロビーでも同じように見ることが出来る。
【梅】(テーブルと椅子)
輪島の漆仕上げのテーブルを梅の花の芯、その周りの五つの椅子を花弁に見立てて、満開の梅の花に見えるよう趣向を凝らした。椅子は花弁をかたどったデザインとしている。
【四弁花紋】(つづれ織りの壁画)
色絵磁器の第一人者で人間国宝の富本憲吉氏がデザインした四弁花紋様を、京都・西陣の龍村美術織物に依頼して、純絹のつづれ織りにしたものである。蘭を見事なふくれ織りで、屏風風に仕立てている。蘭は大倉喜七郎が好んだ花だった。
【麻の葉紋】(木組み格子)
二等辺三角形の組み合わせによって作られた四方連続紋様で、単純でありながら極めて巧みな構成紋様だ。
釘を一本も使わずに組まれた芸術品。館内の随所に麻の葉のデザインが施されている。
【世界時計】
ホテルオークラ東京を設計した谷口吉郎氏が晩年、当時の社長 野田岩次郎所有の古いオランダ製の海図をもとに考案し、丹青社ならびにセイコー株式会社 服部時計店の協力のもと、当時としては、最新機能と種々の趣向を凝らして製作された。
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