東京60分デート:いまさら大の大人が『夜の浅草』を歩きながら口説くという新鮮な技。

ライトアップされた浅草寺に到着

21:20~21:25

宝蔵門

「これ東京?すごくない?東京にあっていいレベルじゃなくない?」由紀が感嘆する。

「いやほんと、人いないのにこんなにライトアップしてて、超贅沢だね。なんでみんな来ないんだろ」

「JR通ってないから?」
「だね」
「でも銀座線も通ってるよ?あ、都営浅草も通ってる」
「なんか東京の人って地下鉄乗ったら家帰りたくなるんじゃない?」

会話に色気は無いが、まるで二人のために創られたかのようなムードに、否が応にも二人の気持ちは盛り上がる。

「ね、左見て。超すごい!」

五重塔でムードは最高潮へ

21:25~21:30

※現在五重塔は工事中です。

「・・・・」

しばし唖然とする二人。
言葉の無い時間が、デートでは重要だ。


(いましかない)

「由紀、あっちからも見てみようよ」
宝蔵門をくぐるときに、智也は由紀の手を握った。
由紀は強くもなく、弱くもなく手をあわせる。

(ストレートに「好きだよ」とかかな?「これからも一緒にいてくれる?」かな?なにがいいんだ、こういう場合)

30歳を超えて、長らく真面目な告白なんてご無沙汰の智也の頭のCPUが100%を振り切る。

握った手は、まだ彼女の握力を感じるほどではない。

(今日のデートは手をつなぐとこまでだもんな・・・)

ゴール設定を思いだし、告白しないことを自分でエクスキューズして、智也は次回に持ち越すことに決めた。

隣の由紀の赤らんだ笑顔は、浅草寺のオレンジの照明で少し誤魔化されているように見えた。

お互いの気持ちを少し確かめ合った二人を、浅草寺がお出迎え

21:30~21:35

浅草寺境内

「さすが下町のライトアップは、何と言うか、迷いが微塵も感じられないな」

「ね、なんか竜宮城にでも来たみたい」
「竜宮城ね」
「見たこと無いけど」

未来の結末が上手く行こうが行かなかろうが、二人はここに来たことを忘れないだろう。

鉄板デートネタ『おみくじ』で勝負

21:35~21:40

おみくじは夜でもひける

「あー!おみくじやろうよ!」由紀がはしゃぐ。
「なんか浅草寺のおみくじってガチで有名らしいよ。「凶」が異様に多いんだって。滅多なことがないと大吉なんて出てこないって」

結ばれかかった二人に、「恋人:現れないでしょう」という文字が踊る可能性があるが、智也はおみくじを引く。

「俺、『小吉』だ。。」
「やだ、私『凶』。なんなの!もう一回引いていい?」

(やっぱり由紀って前向きだよな)

返事も待たずに由紀はもう一度おみくじを引く。

「ちょっと、また『凶』なんだけど」

ウワサ通りのシビアさに、神様も「そう甘くはないぞ」と言っているような気がした。

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