風味抜群の”秋の新蕎麦”なら、産地の食べ比べが出来るこの名店へ!

9月の声を聞くや、蕎麦屋で目にする“新そば入荷”の貼り紙。だが、一口に新そばといっても“夏蕎麦”と“秋蕎麦”の2種類があるのをご存知だろうか? 10月も末になれば優れた風味を持ち香り高い“秋蕎麦”が店に並び始める時期。 産地ごとの食べ比べも出来る『ら すとらあだ』がおすすめ。

店で出す手打ちそばはすべて手挽き。手前から、北海道雨竜産北早稲の太打ち、長野松本産信濃1号。この2枚が新そばで、奥が、去年の茨城産常陸秋そば

産地違いで楽しむ鮮烈なる新蕎麦の風味
『ら すとらあだ』

9月早々に登場する新そばの多くは、6月中旬~8月中旬に収穫された“夏新”であることも多いのだ。

が、品質・味・風味ともに優れているのはやはり“秋新”。10月中旬~11月中旬に収穫された秋の新そばである。

近頃では、そばの保存技術も進み、数年寝かせた熟成そばの旨さも一目置かれているが、「透明感のある初々しい緑と荒々しくも青々しい香りは、やはり新そばならではでしょう」とは、店主の日比谷吉弘さん。

写真は、群馬産。赤城の北ワセ

ここ『ら すとらあだ』では、常時5種類あるそばの中から日替わりで、(時期により異なるが)新そば2種を組み入れたせいろ3枚を用意。写真の、「信濃1号」(左)と、北海道雨竜・北早稲の太打ち(手前)、このふたつが新そば。

店主の日比谷吉弘氏が、日々、自らの手で挽き打つ蕎麦は、粉の自然な風味を生かした粗挽きタイプ。常時産地別に2~3種の蕎麦を打ち分けている。やや太めの麺をよく見れば無数のホシがとび、かみしめるうちに口中にあふれる穀物感に陶然となる。

粗挽きならではの香りの高さが持続し素朴ながらも、逞しい味わいだ。特に「信濃1号」は、酒でいうなら「あらばしり」の猛々しさ。

内観

さらに、見逃せないのが日本酒。メニューはないが、好みを言えばご主人が、常温、冷酒、お燗用と、計28種の中から、ピタリの一本を勧めてくれる。蕎麦屋酒を楽しむには格好の一軒だ。

肴も、定番だし巻卵をはじめ、枝豆のひたし豆にきんぴらなど、簡素ながらも、手作り感のある逸品揃い。このきんぴらもペペロンチーノ風に仕上げるなどさりげないひと手間に店主センスが光る。

場所は、中野坂上駅から徒歩3分だが、住宅街に潜むこの店を見つけるのは、なかなか至難の業である。看板もなく、外観は普通の民家。ガラス窓から店内を覗き見て、やっと蕎麦屋とわかるほど。まさに隠れ家なのだ。

いかがだったであろうか?
日々、店主自らの手で挽き打つ蕎麦の、手挽き故のもっちりした独特の食感と共に、晩秋の実りの味を堪能していただきたい。
隠れ家になっていて見つけ辛いが、この蕎麦を一度口にすれば、わざわざ探し尋ねるだけの価値は十分あるとわかるはずだ。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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