身も心も酔わせる、二軒目の切り札 Vol.1

二軒目の『ウォッカトニック』(西麻布)で賭けた勝負のゆくえ

西麻布『ラボンバンス』を1軒目とした結花とのデートの帰り道、そろそろ終電がなくなるという彼女を引き止め、僕は『ウォッカトニック』へと誘った。少し帰りたそうな素振りを見せていた彼女だが、空気を読んだのか二つ返事で応じてくれた。

『ウォッカトニック』は西麻布の中でも老舗なオーセンティックバーとして知られる。二回目のデートだが、心は決まっていた。勝負を賭けるのは今日だ。真剣さを伝えるためにも、数多ある西麻布のBARからこのシックなBARを選んだ。

西麻布2丁目のとあるビルの地下を降りて行く。ちなみに一階にも『Amber』という有名なBARがある。西麻布でBARに困ることは、まずないだろう。

「すごーい、大人な雰囲気ですね。私、あんまりこんな大人なBARは来たことないかも」

「俺もそんなには来ないけどな」

結花のテンションがあがる一方で、僕はこの後のことを考えすぎて、緊張を隠しきれなかった。

「コーヒーリキュール?珍しいかも。じゃあこれで!」

するとマスターが訊ねる。

「バカルディで割ったものですが、よろしいですか?」

結花はゆっくりと微笑みながら頷いた。

コーヒーリキュールは水出し用のサイフォンを用いた本格的なものだった。

「こんなに美味しいコーヒーリキュールあるんですね!」

結花の嬉しそうな横顔に、思わずにやけかけてしまった。

「二回デートしただけで、こんな気持ちになるなんて思ってもいなかったよ」

「雄太さん、どうしたの?酔っぱらってるの?笑」

少し酔っぱらっているふりはしたが、シラフだ。緊張のあまり、酔えた心地ではない。

「好きだ。俺と付き合ってくれないか?」

一瞬、間が空いた。

「またまた。冗談ですよね?でも雄太さんが好きっていってくれる気持ちは嬉しいな」

結花の表情は、照れているようにも、困っているようにも見えた。

「あっ、本当に終電がなくなっちゃう。もう行かなきゃ!」

こうして僕の告白はあっけなく幕を閉じた。感触は良いのか悪いのか。良くはないのだろうが、悪いとは思いたくない。

告白のために頭を使い過ぎたのか、少し腹が減った。一人残された僕は、カレーとシングルモルトを頼んだ。

『ウォッカトニック』の二色カレーは、10日間煮込んでいるだけあり、味わい深い。シングルモルトとの相性も良い。しばしの間、そのマリアージュに癒される。結花の答えはどこにあるのか。いくら考えてもわからず、カレーを平らげた後もスコッチを頼んで酔いが回った。

「お客さん、きっと次がありますよ。あの子、頬を赤らめていたから」

マスターのその言葉に、僕は一筋の光を見出した。


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