Q1:女が2度目のデートから思っていたことは?
杏と出会ったのは、マッチングアプリだった。
丸の内の保険会社に勤める26歳。顔が可愛いのはもちろんのこと、清楚な感じが好印象で僕の方から「いいね」を押した。
すぐに会うことになったのだけれど、実際に会うと杏は小柄で可愛くてふわっとした雰囲気を醸し出していた。
「杏さんは、お仕事は何をされているんですか?」
「保険会社の総合職です。健太さんは?」
「僕はコンサルです」
「え〜すごい、優秀!でもお忙しそうですよね」
その言葉が、正直嬉しかった。
コンサルティングファームで働く32歳というのは、想像以上にタフな仕事だ。クライアントのプロジェクトが佳境に入れば、平気で終電を逃す。土日も資料を作る。それが当たり前の世界で生きている。
でも、コンサルという仕事は、ある種のブランドだ。忙しいけれど優秀、そういう文脈で見られる職業だ。だから僕は、少しだけ胸を張った。
「まあ、忙しいは忙しいですけどね。でも、その分やりがいはあって」
杏はこれに対しても、再び「すごい」と言ってくれた。
そしてこの初顔合わせから、僕たちは何度かデートを繰り返すことになる。初対面の際はホテルのラウンジでお茶をしただけだったので、2回目のデートは僕の方から、神楽坂にある和食屋さんへお誘いすることにした。
このデートは大成功だったと思う。
そして3回目のデートは、僕の仕事終わりに急遽会えることになったので、六本木のワインバーへ行くことになった。
「ごめんね、突然呼び出して。杏ちゃんが、空いていて良かった」
この日は金曜だったので、杏に連絡をしても難しいかなと思った。しかし杏はちょうど友人と恵比寿でご飯を食べていたらしくタイミングよかった。
「ちょうど解散して、家へ戻ろうとしていたところだったので、良かったです」
「ナイスタイミング」
こういう偶然は、嬉しい。パズルのピースがピッタリと合ったようで、気分が良い。
「健太さんは?何をしていたんですか?」
「僕はクライアントと会食があって。予想より早く終わったから、連絡しちゃった」
「連絡もらえて、嬉しいです」
この日も、とても楽しかった。杏は聞き上手で、僕の仕事の話などでも、嫌な顔をせずにちゃんと聞いてくれる。
「でも、健太さんって本当にお忙しいんですね」
「そうなんだよ。ごめんね、なかなか会えなくて」
だけど正直に言うと、デートとデートの間が空きがちなのは、半分は本当に忙しいのと、週末ごとに「今日暇だよ」なんて突然LINEを送るのは、なんとなく格好がつかない気がしていたからだ。
でもそんな僕の気持ちをわかっているのか、杏は杏で、しつこく連絡をしてくることはなかった。
適度に期間が空いたら、お互いどちらかが連絡をして、落ち合う。
このタイミングと空気感がとても心地よく、気がつけば、杏と会い始めてから3ヶ月が経っていた。








この記事へのコメント
先週は原稿が間に合わなかったとかでしょうかね。にしてもお知らせとして告知してくれたらいいのに....