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TOUGH COOKIES Vol.43

「恋をしなければ、生きられない…」恋愛依存症の母を持つ娘の苦悩とは

SUMI

港区・西麻布で密かにウワサになっているBARがある。
その名も“TOUGH COOKIES(タフクッキーズ)”。

女性客しか入れず、看板もない、アクセス方法も明かされていないナゾ多き店だが、その店にたどり着くことができた女性は、“人生を変えることができる”のだという。

タフクッキーとは、“噛めない程かたいクッキー”から、タフな女性という意味がある。

▶前回:仕事中にLINE252件、彼女に送る男。大手金融系コンサルの彼氏が、突然モラハラ系になったワケ

「ともみさんすみません、今日から1週間くらい東京を離れちゃっても大丈夫ですか?」

ルビーからそんな電話が来たのは、ともみが、翌日の予約客がキャンセルになったことをLINEで知らせた直後だった。ルビーは今の若い世代にしては珍しく、メッセージのやり取りよりも電話を好む。

明後日からはTOUGH COOKIESが入っているビル全体の、水回りと防音システムの点検と簡単な工事が始まる予定で、元々新規の予約をとるつもりはなかったし、ルビーの申し出を拒む理由はともみにはなかった。

「今週は、光江さんが打ち合わせで使うのと、あの事務所の女優さんたちの飲み会くらいで、なんとかなるから」

ああ、みず穂ちゃんの事務所の人達か、と呟き納得したあと、ルビーは「ともみさんてば、超ホワイトな上司じゃん」とふざけた。

「普通は、なんで?とか理由を聞くものじゃないの?1週間も休みたいって言えば」
「ルビーが話したいなら、話せば?でも別に、事情なんかどうでもいいよ」

それはともみの本心だった。ルビーが自分に話していない何かを抱えていることは薄々気が付いていたし、それを無理に聞き出すつもりはない。

ともみの耳元でルビーがクスリと笑い、「やっぱ、ともみさんにお願いしちゃおうかな」とその声が弾んだ。

この記事へのコメント

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No Name
ルビーからすれば殺しちゃうかもまで言うほど辛勝ったんだと思う。 ドラマ 『アンチヒーロー』で、施設で育った娘とえん罪で死刑判決下された父が12年後再会、「なんで私を置いていったの?辛かったってもんじゃないよ、犯罪者でも何でもいいからパパと一緒にいたかった」とのシーンと重なる部分有るなと。
2025/12/23 05:525
No Name
ようやくルビーの話が始まって嬉しい! きっと娘を捨てるつもりなんてなかったと思うけど、幼い頃親の離婚後施設で育ったルビーの壮絶だっただろう人生を思うと....ねぇ🥺
2025/12/23 05:244
No Name
恋愛依存で子を施設に預けたなんて許される話ではないけど、おそらくそのアメリカ人父の虐待とかあったのかな。ルビーを守るための事情があって、納得するストーリー展開になりそうです。
2025/12/23 05:513
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TOUGH COOKIES

SUMI

港区・西麻布で密かにウワサになっているBARがある。
その名も“TOUGH COOKIES(タフクッキーズ)”。

女性客しか入れず、看板もない、アクセス方法も明かされていないナゾ多き店だが

その店にたどり着くことができた女性は、“人生を変えることができる”のだという。

心が壊れてしまいそうな夜。
踏み出す勇気が欲しい夜。

そんな夜には、ぜひ
BAR TOUGH COOKIESへ。

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