A1:本来なら、2軒目も押さえておくべきだった。
昌也と出会ったのは、別の食事会で出会った勇輝が開催した食事会だった。私は樹里をその食事会に連れて行ったのだけれど、昌也を一目見た瞬間に、「タイプ!」と思ってしまった。
「由梨ちゃんは、どういう人がタイプなの?」
「私は身長が高くて、どちらかというとガッチリしている感じの人がタイプです」
昌也の身長は、180cm以上は確実にあると思う。それに顔もかっこいい。
だから思わず本当のタイプを言ってしまったのだけれど、昌也も昌也で、嬉しいことを言ってくる。
「昌也さんは、どういう人がタイプですか?」
「僕は可愛らしい子かな。愛嬌があって、笑顔が素敵な子が好きだな」
私はどちらかというと身長が低く、“可愛い”と言われることが多い。昌也が私に配慮しながら言ってくれたことは明白だった。
― お互いタイプってこと…?
そう思うと、俄然やる気になってくる。
気合が入った一次会は大いに盛り上がり、気がつけば食事も終わって時刻は22時半になっていた。
「この後、どうしますか?」
勇輝の問いに、私と樹里は顔を見合わせる。
「私たちは、まだ飲めますよ。ね、由梨?」
「うん。私も明日は休みだから、まだ全然大丈夫」
楽しくなければ即解散だけれど、今日は楽しい。だからまだまだいれるし、時間は一旦忘れようと思う。
すると、昌也が意外な提案をしてきた。
「本当に?じゃあ…よければ、僕の家で飲み直す?」
「え、いいんですか?」
「うん、もちろん。お酒もたくさんあるし、一旦みんなで移動する?」
正直、この提案は意外だった。でも家に行けば大体の年収もわかるし、どういう暮らしをしているか、他に女性の影がないか…など一気にわかる。それに今日はみんなといる。
「じゃあ…お邪魔します」
こうして、みんなで昌也の家で飲み直すことになった。
「ごめん、ちょっと散らかってるけど…どうぞ」
そう案内されて入った昌也の家は、恵比寿駅からとても近く、小綺麗にされていた。しかしたくさん、キッチンの所にお酒が並んでいる。
「何がいい?何でもあるよ。ビール、酎ハイ、あとはウイスキーに…」
「昌也さんのお家、バーみたい」
「僕の家に人が来ることが多いから、いつの間にか増えていって」
「へ〜。結構、人が来るんですか?」
「そうだね。家で飲むのが好きで」
この発言を聞いて、私は少しだけ「ん?」と思った。
― この人、結構家に人を連れ込んでいるのかな。
でも今日みたいに友達同士かもしれないし、それに男性だけの飲みも、昌也の場合は多そうだ。彼の言葉を信じるならば、一人で家にいる時もお酒を飲むタイプの人なのかもしれない。
だから特に突っ込まず、私たちは楽しく家飲みをスタートした。
「由梨ちゃん、酎ハイとかにする?ウイスキーと炭酸水があるから、ハイボールとかもできるけど」
「ワインとかないですよね?じゃあ…せっかくだから、ハイボールを頂こうかな」
結局この後もみんなで色んな話をし、24時過ぎに解散となった。
そしてこの翌日、昌也からデートに誘われた。







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