Q2:旅行で、男が女に対して結婚を意識した理由は?
「由梨、来月福岡でも行く?行きたいレストランがあって」
「うん、行きたい!」
仲は良かったので、旅行はたまに行っていた。この時も、そこまで深く考えずに二つ返事で行くことになった。
しかしこの旅で、駿の中で何かが変わったらしい。
◆
福岡へ到着後、まずはホテルにチェックインをし、少しゆっくりしてから初日のディナーへと向かう。
駿は、福岡に出来たばかりの新店『L’AS FUKUOKA』を予約してくれていた。
「ここって、青山のお店と一緒?」
青山店の方にはもう何度も行っているけれど、福岡店はもちろん初めてだ。
「そうそう。新たに福岡にもオープンしたんだよね」
「駿って、本当にセンスが良いよね」
薬院駅からすぐの所にあるハイセンスなお店は、照明の感じや店内の雰囲気も良く、デートにもぴったりだ。地方の美味しくてオシャレなお店まで知っている駿を、改めて尊敬の眼差しで見つめる。
そしておまかせコースと一緒にペアリングもお願いし、福岡の夜に乾杯してから楽しいディナーが始まった。
「福岡でこれが食べられるなんて!」
サクサクのクリスピーに、しっとりとした濃厚なフォアグラが挟まれた『L'AS』名物の「フォアグラのクリスピーサンド」までちゃんとある。
華やかで美味しい食事と共に、進むペアリング。久しぶりに、駿の顔を正面からまっすぐ見つめられた気がする。
お互い向き合って座って、ゆっくりと食事を楽しむこと。私が求めていたのは、こういう時間だったのかもしれない。
「由梨、今日はご機嫌だね」
「うん、だって嬉しいんだもん」
「喜んでもらえて良かった」
赤ワインを飲みながら、すっかりご機嫌になった私。
「美味しかった〜♡駿、もう1軒行こうよ」
「そうだね、せっかくだし」
久しぶりに駿と楽しい時間を過ごせ、ケンカなどもせずに幸せな空気が二人の間に充満していたと思う。
2泊3日なんて光速のように過ぎていく。
お互い隙間で仕事や友人とのメールに返信したり、オンラインミーティングに参加したり…各々自由に、適当にやりたいことをして過ごしていた。
そして2日目の夜。ご飯を食べながら、私たちはもう次の旅行計画を立てていた。
「由梨、次はどこか行きたい場所とかある?」
「え〜どこがいいかな。国内?海外?」
「どちらでも」
「迷っちゃう!でもその前に、今回の福岡旅行、お母様へのお土産とか買った?」
「あ…やべ、忘れてた」
今年の夏、駿のお母様は入院していて、お見舞いに伺った。今回もお土産くらいは必要だろう。
「明日、空港で何か買うよ」
「うん、そうしよう。私からもお金、出させてね」
こうして2日目の夜もあっという間に過ぎて、帰宅の時間となる。
帰り道のこと。突然の駿からの同棲の提案に、私は嬉しい気持ちよりも驚きの気持ちが勝った。
― あんなにも結婚も同棲も嫌がっていたのに…なんで?
なぜ駿の気持ちは変わったのだろうか。
▶前回:「餃子とビールが好き」と男に言う29歳女。“庶民派アピール”の裏にある計算とは
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:11月2日 日曜更新予定
男が急に結婚を意識した理由は?








この記事へのコメント
しかしそんなこともなく気がつけば交際3年になった。
しかししかして、しかしの使い方がちょっと変だよ。
頼むでしかし。