すると、やって来た美里が心配そうな顔で覗き込んできた。
「雄大くん、お待たせ!どうしたの?何だか思い詰めたような表情だけど」
「え?あ、ううん。何でもない。ちょっと仕事のメールが来ていたから、その対応をしていただけだよ」
そんな、怖い顔をしながらスマホを見ていたのだろうか。慌てて眉間のシワを伸ばしながら、二度目のデートが始まった。
「美里ちゃん、元気だった?」
「え?う、うん」
しかし、ずっと美里は何か聞きたそうな顔をしている。結局食事が中盤に差し掛かる頃、急に美里が思い詰めた表情で僕に質問をしてきた。
「雄大くん。今って、彼女いないの?」
「どうしたの、突然」
「いや、ちゃんと聞いていなかったなと思って。もし彼女がいるなら、彼女に申し訳ないからちゃんと言ってほしい」
― あ〜まぁそうなるよね。
これは当然の流れだろう。でも、聞かれた瞬間に「面倒だな」と思ってしまった。
別に美里と付き合うわけでもないし、ただこうやって、食事を二回しただけのこと。でも美里からすると、もう一歩踏み込んだ関係になりたいのだろう。
そうなると、急に重く感じる。
「今はいないよ、本当に。そんなに心配なら、この後うちに来る?何の女性の痕跡もないから、自由に見ていいよ」
「本当に?」
しかも軽いノリで誘ったこの誘いに対しても、速攻で乗ってきた美里。
結局本当にそのまま、僕の家へ来ることになった。
「ね?何もないでしょ」
「本当だ。ごめんね、疑って」
今日は、まだ二度目のデートだ。それなのに、ホイホイと僕の家へついてくる。そんな女性に対して、僕の中では完全にポジションが決まってしまった。
― この子、誘えばいつでも来そうだな。
正直、価値がない。
最初から僕のこと大好きオーラ全開で、グイグイ来る。この時点で追いかける気にもならなかったけれど、この二度目のデートでそれはさらに悪化し、こんな簡単に家へ来てしまう女子はどうなのだろうか。
「いいよ全然。それより、何か飲もうよ」
「うん」
まったく、高嶺の花感がない。
二度目のデートで家へ来る女性は、よくないと思う。それは、本命になりづらいからだ。
少しでも「この子、チョロいな」と思われたら、そこで終わり。もし好きな男性の本命になりたかったら、頑張って頑張って、ようやく手に入る…くらいのブランディングが必要だと思う。
結局、これ以上追いかける気にはもちろんならず、面倒になって連絡を取ることすらやめてしまった。
▶【Q】はこちら:「餃子とビールが好き」と男に言う29歳女。“庶民派アピール”の裏にある計算とは
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国内旅行で、別れそうな関係が修復した理由







この記事へのコメント
そんな簡単に許しちゃう感じ?
そんなに気合い入ってる感じ?
口調が鼻につく。