男という生き物は、一体いつから大人になるのだろうか?
32歳、45歳、52歳――。
いくつになっても少年のように人生を楽しみ尽くせるようになったときこそ、男は本当の意味で“大人”になるのかもしれない。
これは、人生の悲しみや喜び、様々な気づきを得るターニングポイントになる年齢…
32歳、45歳、52歳の男たちを主人公にした、人生を味わうための物語。
▶前回:「残りの人生は、消化試合だろう…」飲食店経営で成功した52歳男性が抱える虚無感の行方
Vol.7 後楽園の人混み。彼女だけはすぐに見つけられる
フレンチシェフの32歳、三隅健吾の場合
「三隅シェフ!グラタンドゥフィノアふたつです」
「ウイ!」
通の中でこそ知られていたはずのこの店は、ここのところランチもディナーも連日連夜の満席が続いている。だれかがSNSで紹介して、それがバズったのだろうか。
特に、僕が先日作ったばかりの新作・グラタンドゥフィノアが好調だ。
これまでの看板メニューだったアッシパルマンティエは、なんといっても出来立てのグツグツした状態が最高の一品だった。
だけど、それだけを作り続けていたのではいつかは飽きられてしまうかもしれない。
そう考えて作ったのが、ちょうど冷たくなったアッシパルマンティエを残されたお客さまがいたことがきっかけになった、冷めても美味しいグラタンドゥフィノア。
動物性でなく植物性のオイルの旨みを前面に出した新作のグラタンは、ちょうど梅雨時のじめじめとした蒸し暑さと相性が良かったこともあってか、人気の皿になりつつあるのだった。
― ああ〜、めちゃくちゃ忙しい…。けど、今は止まるわけにはいかないもんな。
鍋を振りながら僕は、今の僕を取り巻く環境について改めて振り返る。
32歳。今だけは絶対に、全力で進化しなくてはいけないのだ。
この記事へのコメント
途中、白川様が出てきたので45歳なんじゃないの(次のターゲット) と思ったらやっぱり。 あり得ない本音って? パパ活とかしてたら残念過ぎるけど、側から見ると幸せあふれる夫婦でも色々あるって事なのかもね?