A2:シラフだと会話が盛り上がらなかった。
初デートが楽しかったので、必然的に二度目のデートへの期待値は上がっていた。でも、僕の中で上がりすぎていたのかもしれない。
二度目のデートは昼に会うことにしていた。
僕の中でセオリーがあって、この先を真剣に考えたい人とは、一度昼に会うと決めている。
なぜなら夜だとお酒も入るし、色々とカバーされてしまう。
お酒も入っておらず、普段の生活の延長でもある日中に会うと下手なフィルターがかからず、本来の人となりがわかるからだ。
ただ初回は昼より、夜がいい。恋愛が始まる確率は、ダントツで昼よりも、美味しい食事をしながらお互いに良いムードになれる夜だと思うから。
だから二度目のデートは表参道のカフェで、お茶デートをすることにした。けれどもこのデートで色々なことが見えてきてしまった…。
◆
デート当日。生憎の雨だったものの、僕は待ち合わせのカフェに着き、ぼんやりと外を眺めてながら恭子を待つ。
すると少し遅れて、恭子がやってきた。
「お待たせしてすみません…!」
先ほど「遅れる」と連絡が入っていたので、そこは大丈夫だ。
「全然大丈夫ですよ。僕もさっき来たところなので。何を飲まれますか?」
「じゃあ…チャイティーラテで。オーツミルクに変更ってできますか?」
「わかりました。ちょっと待ってくださいね」
そう言いながら、僕はQRコードを読み取り、僕の分と彼女の分の飲み物をオーダーする。その間、恭子は窓に映った自分をチェックしており、その姿は可愛いと思った。
けれども、この後からが問題だった。
オーダーした飲み物が運ばれてきたので、僕たちはそっと口をつける。
「生憎の雨ですね…」
気のせいか、前回会った時よりもおとなしそうに見える恭子。だから外を見ながら、僕は恭子へ話しかけた。
「そうですね…」
― ……え?それで終わり?
「そうですね」の後に続く会話を期待していたものの、その後の言葉はない。でも、これは僕の話しかけ方が悪かったのかもしれない。
だからもう一度、話を振ってみる。
「やっぱり晴れている方がいいですよね」
「はい、そう思います」
しかしこの会話でも、僕の淡い期待は虚しく崩れ去っていく。恭子からは、その後何も発せられなかった。
― あれ、これは…。
もう一度コーヒーを啜りながら、僕は色々と悟ってしまった。
「恭子さんは、どの季節が好きですか?」
「私は…春ですかね。蓮さんは?」
「僕は夏が好きだったのですが、最近の夏は暑すぎて。最近は季節迷子です」
「たしかにそうですよね」
昼のデート、開始15分でわかった事がある。
恭子とは、会話が盛り上がらない。前回はお酒も入っていたし、食事やお酒がサーブされるタイミングで、色々と話も広げられる。
でも昼間にシラフでカフェで会うと、何も盛り上がらない。
別に大笑いを求めているわけではない。シンプルな会話のキャッチボールでいい。でも恭子は「会話を続ける気がないのかな?」と思うほど、発展しない。
そして恭子とは沈黙が耐えられない。
ほぼ初対面だから…ということもあるけれど、「何か話さないと」という焦燥感に駆られる。
― この前夜に会った時と、全然違うな。
そう思いながら1時間ほどお茶をして店の外へ出ると、さっきより少し雨足が強くなっている。
「恭子さん、また連絡しますね」
「はい。待っています」
こうして解散したものの、僕の中ではもう決まっていた。
ただ数回会うとか、遊ぶとかだったらいいかもしれない。でもこの先真剣に交際していく女性とは結婚も考えているし、生活になる。
そうなると昼間に会って「何か違う」と思うような人は厳しいと思う。
お互い真剣に交際を考えるからこそ、昼に会うのは大事なこと。
お酒が入っていなくても、何もなくても…言うならば、お互いただダラダラと家にいて会話がなくても違和感がなく、沈黙さえ気にならないような人がいい。
恭子には、恭子の会話のペースに合う人がきっといるはずだ。ただそれが僕ではなかっただけのこと。
表参道の交差点で強まる雨を感じ、僕は慌ててタクシーへと乗り込んだ。「やっぱり、本交際となる前に昼に会っておいて良かった」と思いながら…。
▶【Q】はこちら:昼デートで男が見てるのはココ!アプリで出会った彼と、カフェで会うときの注意点とは
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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周りからの評価が低い人と付き合ってもいいのか?
この記事へのコメント
恭子も超つまらない女だけど、蓮の主張もしょうもな。
蓮の言い分も理解出来るけど、何となく かのようで、感じ悪い。