Q1:初めて会った時に女が少し引っかかったことは?
美和とはマッチングアプリで出会った。可愛いプロフィール写真と美味しそうなスイーツの写真が載っており、僕のほうから“いいね”を押した。
すると向こうからも“ありがとう”が来て、僕たちはマッチし、会うことになる。
軽いやり取りをした後で、開業以来よく通っている「ジャヌ東京」に入っている『ジャヌ ラウンジ&ガーデンテラス』で東京タワーを眺めながら、お茶をすることにした。
先に着いたので大きな窓から見える外の景色を眺めていると、白いワンピースを着た美和がやってきた。
思ったより小柄だった美和。でも写真は比較的そのままで、少し安心する。
「初めまして、琢磨です」
「初めまして、美和です。すみません、お待たせしちゃいました?」
「いえいえ、全然。僕も先ほど着いたところなので。何飲まれますか?」
こうして、僕たちの初顔合わせが始まった。
メッセージのやり取りをあまりしないまま会ったので、まずはお互いの自己紹介が始まる。
「琢磨さんは、今どちらにお住まいですか?」
「僕は四ツ谷です。勤務地が大手町で」
「金融系でしたっけ?」
「そうです。美和さんは?」
「私は今学大に住んでいて、職場は渋谷です」
最初は、お互い堅い雰囲気が崩せずにいた。でも時間も限られているし、もう少し美和のことを知りたい。
だから当たり障りのないような会話を続けつつ、もう少し深掘りしていく。
「美和さん、ご出身は?」
「私は埼玉です。琢磨さんは?」
「僕は小さい頃、父親の仕事の関係でイギリスにいて。今両親は、神奈川に住んでいます」
「そうなんですね!帰国子女なんだ」
「美和さんは、ずっと日本ですか?」
「そうなんです…。琢磨さんは、やっぱり海外志向のある女性が好きですか?」
そう聞かれると、どう答えて良いのかわからない。好きだけれど、最近はそこにこだわらないようにしている。
だから曖昧な返事をし、違う話を振ってみる。
「そこまで気にはしないですね。ちなみに趣味とかありますか?」
「スイーツが好きなので、休日はホテルのカフェ巡りとかよくしています。琢磨さんは?」
「僕はジム通いが趣味といえば趣味になるのかな…。前の彼女には、『ジムに行きすぎ』って怒られましたけど」
そう言うと、ケラケラと笑い始めた美和。
「ジム通いって、ダメなんですか?」
「あまりマッチョが好きではなかったらしく…」
美和も適宜質問をしてきてくれたお陰で、初対面の時間は有意義に過ぎていく。お互いのことも知れた。でも、もう少し話したい。
だから次の約束も提案してみることにした。
「美和さん、よければもう一度会いませんか?」
すると美和も嬉しそうに、大きくうなずく。
「もちろんです。いつにしますか?」
「次はディナーでも。来週土曜とかはどうでしょう?好きな店が、神楽坂にあって」
「空いています!いいですね」
こうして、スムーズに次回の約束をすることができた僕たち。そのタイミングで会計をし、もう一度日程の確認をする。
「じゃあ、今日は僕が払っておきますね。とりあえず、また来週末ですね」
「ありがとうございます。はい、また来週末に」
解散後、僕は柔らかくて温かい気持ちを抱えたまま、タクシーに乗った。
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