絶対に負けられない接待が、今宵はある Vol.4

絶対に負けられない接待が、今宵はある:『琥珀宮』編

新宿の大手百貨店へのシステム導入案件を受注し、プロジェクトマネージャーに任命した小久保(32)を中心に案件を進めていた。2年近い規模の案件になりそうで、現場同士のコミュニケーションを円滑に進めるためにも、プロジェクトが3ヶ月目に差し掛かった頃合いで、先方の太田システム部長(55)に声を掛け、現場社員を中心とした懇親を深める会食を設定した。

先方も当方も5人ずつの大所帯となったため、12席の円卓のある貴賓席を擁するパレスホテル内の中華『琥珀宮』を選んだ。ミシュラン星付きの麻布十番の『富麗華』擁する中国飯店グループの中華料理店である。太田部長が中華好きと耳にしたことも、ここを選んだ決め手だ。

現場同士を中心とした会食ということもあり、7,600円のコース設定とした。会食費はこちら持ちのため、高すぎると逆に気を遣われてしまう。1万円前後くらいまでとするのが無難であろう。

「日頃はプロジェクト推進でお世話になっております。お陰さまで順調な滑り出しですね。今日は美味いものでも食べながら、大いに飲みましょう!」

私が乾杯の音頭を取り、小久保ら現場社員が先方の現場社員との話に花を咲かせた。

「御社のECのご提案は予想以上のものでした。これなら既存のECの売上を10倍にすることも夢ではないかもしれない。一緒に作っていきましょう」

先方の太田部長が海老のチリソースを頬張りながら満足げな笑みを浮かべて談笑する。受注後の『旬房』での御礼会食時より寛いでいるようだ。

「太田部長、そのようにおっしゃっていただけるとは光栄です。完成まで気を緩めず努めますので、引き続きお力添えのほどよろしくお願いします!」

小久保がそれに力強く応えた。

「小久保さん、力み過ぎですよ。部長の前だからって。いつもそんなに真面目じゃないじゃないですか(笑)」

先方の現場社員から小久保への小気味よい野次が入る。こんな軽口を叩かれるくらい、小久保は先方の現場と良好な関係を築けているといえるだろう。改めてプロジェクトマネージャーに小久保を起用したことは正解だったなと思った

「ここの中華料理美味いですね。〆は何ですか?」
「担々麺ですよ。これがまた美味いんです」

たしかに『琥珀宮』のエビチリも担々麺も美味かった。けして安いコースではないが、プロジェクトが上手く進みそうな心地良さもあり、酔いに任せつい食べ過ぎてしまった。

結局、このプロジェクトは様々なトラブルに遭遇しながらも順調に納品を終え、想定通りのEC事業の成長も相まって次年度以降も継続的な大きな取引が決まった。要所要所での接待会食が、確実にビジネスの潤滑油となってきた。たかが接待、されど接待。侮るなかれ。


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