運命なんて、今さら Vol.8

「彼女の通話履歴を見て…」28歳男のヤバい行動。爽やかエリート社長の裏の顔とは

「結海の、新しい男ですよね?」

「…え」

「あいつと、仲良くしてるんですよね?」

「えっと…」

寿人はたじろいだ。長身で、美形で、自信にあふれている、その雰囲気にも圧倒されてしまう。

「結海のスマホで、通話履歴を見たんです。そしたらあなたの名前があって、定期的に連絡をとってることがわかった。あいつは、普段は男と電話するようなたちじゃないから、特別な関係なんだろうなって」

― この人、結海さんの“元カレ”なのか。

「今日は、興味があったから来たんです。結海が、どんな人と浮気したのか」

― 浮気…って。

「ま、いいです。失礼しました」

鼻で軽く笑いながら、廣崎研哉は言った。

それから途端に爽やかな笑顔をはり付け、軽く一礼をして去っていった。

その後ろ姿を、寿人はあっけにとられながら見送る。


「なんだよ…」

廣崎研哉。いわゆるイケメンで、身なりが良くて、どこに行っても人に気に入られそうで。

結海のような素敵な女性が横にいるのも、納得かもしれない。

しかし、たった今の、彼の豹変ぶりは何なのか。

「新しい男ですよね?」と言ったときの尖った目。

結海を「あいつ」と呼んだときの、小馬鹿にしているような声色。

そもそも、こんなかたちで自分に会いにくる非常識さ。

「…どんな人なんだ?」

寿人はなんとなく、結海が廣崎研哉のことで怖い思いをしているような気がしてきた。

― ちゃんと結海さんの話を、聞こう。

思い切って、LINEを送る。

『寿人:結海さん。近いうちに、ご飯にいきましょう。また軽くお茶でもいいから』

気分を変えようと窓を開けると、春を感じる少しだけあたたかい風が入ってきた。

《結海SIDE》


「今日は、ちょっとだけあったかいな」

水曜日の20時半。

仕事を終え、肩こりを感じながら渋谷駅に到着した結海は、スマホが震えていることに気づいた。

― 電話?誰だろう。知らない番号。


通話ボタンをタップすると、ゆったりとした柔らかな声が聞こえた。

「あのね、結海ちゃん?」

声を聞いただけで、すぐにわかった。研哉の祖母、マチコおばあちゃんだ。

「知らない番号でびっくりさせちゃったわね」

「いいえ。お電話、変えたんですね」

言いながら、結海は考える。

マチコおばあちゃんはきっと、自分と研哉が別れたことを聞いたのだろう、と。

研哉がバスローブを脱ぎ捨て結海の家を出ていったのが、4日前。

そのあと、結海は研哉に「これで本当にお別れだからね」と念を押すLINEを送った。

『研哉:うん。もういいよ』

『結海:今までありがとう。傷ついたけれど感謝もしてる』

このとき結海は「マチコおばあちゃんに、別れたことを話してね」と、釘を差しておいたのだ。

自分から報告するより、孫から聞くほうが自然だろうと思ったから。

代わりに結海は昨夜、便箋3枚でマチコおばあちゃんへの感謝をしたためた。

今週末に菓子折りを買い、手紙と同タイミングで郵送する予定でいる。

「あれ?聞こえてるかしら」

「あ…ごめんなさい!聞こえてます」

「あのね、研哉から聞いたかもしれないけれど、研哉が昨日、スマートフォン?を買ってくれたのよ。研哉ったら、これでいつでも結海さんに連絡できるねって、言ってくれたわ」

― ん?嘘でしょ…。

この記事へのコメント

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No Name
税理士だって暇つぶしで無料相談を受けている訳ではないのだから、失礼にもほどがあると思う。こんな非常識な男がエリート社長な設定にも違和感しかない。LINEの通話履歴を盗み見てどうやって彼の事務所が分かったんだろう? もしフルネームであればネット検索でヒットするかもだけどその辺り浅く書かれているから適当に話作ってるように感じてしまう。 次は結海とのデートに研哉が乱入か?
2025/02/26 05:2523返信2件
No Name
読みにくい箇所も多いし内容も暗いし面白くない。
2025/02/26 05:1615返信4件
No Name
相変わらずのスローテンポでなかなか話が先に進まない。マチコにはっきり別れた事伝えたのは良かったけど。
2025/02/26 05:1615返信1件
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