男と女の答えあわせ【A】 Vol.244

「結婚したい」と強く願っていた32歳女。しかし彼氏にプロポーズされた瞬間に、冷めたワケ

A1:恋愛初期の甘酸っぱさは、続かない。


隆史と出会ったのは、マッチングアプリだった。自粛モードで、出会いなんて皆無だったあの頃。当時私は29歳で、どうしても結婚がしたかったので、アプリに縋った。

そこで出会えた隆史は一つ上の30歳で、身長も高くて独身。

実際に会うと、隆史は、顔もかっこよくて性格も素敵で、会えば会うほど私は彼に惹かれていく。

「百合、好きだよ」
「私も。隆史と、ずっと一緒にいたい」

無事に交際が始まり、IT会社に勤める隆史と、同じくIT関連のスタートアップに勤める私は、どちらかの家で、リモートワークをすることも多かった。


ずっと一緒にいたら、嫌な部分も見えてくるもの。でも隆史は、嫌な部分が何も見えてこなかった。

「なんかさ…百合とはずっと前から知り合いだった感じがする」

仕事の合間にコーヒーを渡すと、隆史が真顔で、私と思っていたことを口にしたので、思わず深く頷く。

「わかる。隆史といると、ノーストレスなんだよね。とにかく居心地が良いし、一緒にいるのが自然というか」
「そうそう。まるで家族みたい」
「本当だね。不思議だよね」

居心地も良いし、ずっと一緒にいても嫌にならない。何よりもお互い大切に思い合って、好き同士でいる。

― これは結婚まで早そうだな…。

そう思っていた。しかし世の中が動き始め、リモートも減って出社回数が増えてきたタイミングくらいで、私はまず一度、「あれ?」となる。


気がつけば、交際期間は1年になっていた。

それでも、何も言ってこない隆史。一緒にいると楽しいし、平和だ。ケンカもなく、お互い楽しく過ごせる。

でも、そうじゃない。もっと必要なことがある。

耐えきれなくなり、私は隆史にプレッシャーをかけてみることにした。

「隆史。この先のこと、どう考えているの?」
「どうって?」
「結婚とか、ちゃんと考えてる?」

すると、豆鉄砲を食ったような顔になった隆史。

― え…。まさかとは思うけど、考えていなかったの?

アラサーの貴重な時間を、なんだと思っているのだろうか。腹立たしさとともに若干の怒りも湧いてきたけれど、残念ながら、何も考えていないのも隆史っぽかった。

しかし何かを察したのか、急に真顔になった隆史。

「もちろん。もう少し待っていて。ちゃんとするから」
「本当に?嬉しい。絶対、ちゃんと考えてよ?」
「もちろん」

― もう少しだけ待てば良いんだね?

そう思った。しかし私たちの状況は、ここから大きく変わっていってしまった。

この記事へのコメント

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No Name
CFOの彼が実は既婚者である事を願う!
2024/12/01 05:1631返信2件
No Name
「これは結婚まで早いな」と勝手に思っただけじゃん。圧力かけてあとはひたすらwaitingとかではなく話合ったりしないと。タイミングなんて、双方で相談しながら調整するものだから。直ぐ結婚出来ると思い込んで → 長過ぎた春 → 他の人を好きになった 随分と身勝手なアンサーだなとしか思えない。
2024/12/01 06:0730返信2件
No Name
先の事どう考えてるの?とかキレ気味に言うだけではなくて、自分の人生設計であと2年以内に結婚出来たらいいと思ってるとかそういう事は伝えた方が良かったと思う。「もう少し」も人によって感覚違う。そこから半年でプロポーズなら早かったんじゃない?とも思う。
三年経っても私達は他人だって、自分の気持ち伝えたり話し合ったりしないからでしょう。彼は随時話してくれてたのに、よく裏切れるなぁ。
2024/12/01 05:2928
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