かわいく生きられない女たち Vol.6

GPSを彼氏のスマホに仕込んだ27歳女。ドタキャンされた夜、男の居場所を確認すると驚きの事実が…


そこにいたのは芽衣だった。

彼女はニヤリと笑い、言った。

「その顔…さては振ってきたね。だいぶスッキリした表情してるじゃん」

「どうして、ここに来たの?」

「これ、忘れてたからさ」

彼女の手には、傘が握られている。

「芽衣ったら。いらないって言ったのに…タクシーで行くっていったじゃん」

「雨が降ってるのに、傘がいらないわけないでしょ」

「ごめんね、私なんかのために」

「こういう時は『ありがとう』って言うんだよ」

彼女は笑い、私もつられて笑った。赤いルージュがきれいだった。


― 私はもう、足りないものを男で補おうとしない。今のままで十分、愛されていい存在なんだ。

母が血を流して産んだ、私という存在。キャリアを犠牲にして育ててくれた父。それを丸ごと抱きしめてくれたのは、かつての旧友だった。気づくと、私はこう口に出していた。

「色々あったけど、あの時、頑張って外大に入ってよかったわ。親友にも巡り会えたし」

「は、どうしたの急に?」

外に出ると、雨は止んでいる。

秋の夜空は深い藍で、目をこらすと、2つか3つ星が見えた。月は出ていない。

― 見ようとすれば、見つかるのよね。大事な存在って。

「ね。芽衣、飲みに行かない?」

「いいねぇ!赤坂って大使館がたくさんあるから、インターナショナルなお店がたくさんあるって聞いたよ」

「ここも良さそうだな~」とグルメサイトを見ている芽衣の姿を見ながら、私はぼんやりと思った。

この夜がどこに続いているかわからないけど、きっと大丈夫。あの時みたいに笑える日が、きっと来るはず。

― そうすれば、もっとちゃんとした恋愛もできるかも。



▶前回:広告代理店男と付き合って1ヶ月の27歳女。彼から1週間に1回しかLINEが来ないって、ヤバイ?

▶1話目はこちら:メガバンク勤務、28歳ワセジョの婚活が難航するワケ

▶Next:11月14日 木曜更新予定
次回は…男をKOできない慶應女子「裏垢が彼のお母さんにバレました」【前編】

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この記事へのコメント

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No Name
くるみと蓮のやり取りが、友近となだぎ武のコントみたい
2024/11/07 06:278
No Name
亜久津蓮の彼女(見た目年齢20代前半)も、目を覚まして欲しいな。あんな男と一緒にいても幸せになれないよ。

蓮は、くるみの学歴と留学経験(1ヶ月だけなんだけど)にコンプレックス持ってそう。だから見下せそうな若い女を本命にしたのかな。くるみが蓮の思う以上に稼いでいることも今回で分かったはず。くるみが蓮より充実した人生を送れますように。
2024/11/07 08:433
No Name
三鷹から赤坂へタクシーって、よっぽどお金持ち。
2024/11/07 08:432
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