カブト
カブト
大衆酒場のカリスマと思い出横丁を飲み歩く
まだ暮れなずむ夕方5時、吉田類氏に会うべく新宿西口の思い出横丁へ。待ち合わせの店『カブト』を覗くと、すでにご本人は軽快にビールを呷っていた。
「ここは鰻の名店。頭から尻尾まで全部食べさせてくれるんです。なんか命を頂いてるって感じがするよね」と幸せそうに串を頬張る。
吉田氏と言えば、テレビ番組『酒場放浪記』の出演で注目を集める大衆酒場のカリスマ的存在。離れた席から「いつも見てるよっ」と気軽に声が飛んでくる。
ダイニ ホウライヤ
第二宝来家
わずか1時間程で「次行こうか」と席を立つ吉田氏。「モツが新鮮でね、いい店があるんだよ」と『第二宝来家』の暖簾をくぐる。それにしても、なぜ毎晩飲み歩くのか?
「だってお酒ってすごいじゃない。飲めば元気がでる。萎えた心を鼓舞してくれるでしょ。それにお酒は人と人を繋ぐ素晴らしいメディア。大衆酒場はみんな仲良くなれる“酒縁社会”でもあるんです」
なるほど、彼の周りでは客も店主も屈託がない。
夜8時。店を出つつ、ひと晩で何軒ハシゴするのか聞いてみた。
「5~6軒は行きますね。出会いを求めて飲み歩くことで、本当の酒場文化に触れられるんだもの。やめられないな」
そう語りながらモツ焼きの煙たなびく横丁へ、足を踏み出した。