現代の“教育・お受験”リアルドキュメント Vol.44

塾をかけ持ちしても、成績が全然上がらない!学習院女子中を目指す一家が、受験5ヶ月前に実践したコト

「ちゃんと勉強してないから、成績が上がらないんじゃないの?」

父親からの叱責に、娘は返す言葉もなく黙り込み、家の中は一気にピリピリとした空気になる。

中学受験本番を5ヶ月後に控え、追い込みの時期だというのに…。

今や特別なことではなくなった中学受験。夫婦ともに中受の経験はなくとも、我が子を塾へと通わせ、少しでも偏差値の高い私立中に合格させたいと考える親は増加の一途を辿っている。

そして今回取材した一家も、両親ともに公立中を卒業していた。

自分たち親も経験のない中学受験に手探りで挑んだ結果、ときには親子の仲が険悪になりながらも、最終的には第一志望校の合格を勝ち取ったのだ。

では“中受未経験者”の一家は、どのようにして受験を乗り越え、合格を手にしたのだろうか…。


取材・文/蒔田稔


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小6の夏まで、週5で習い事を掛け持ちしながら中受にトライ。それでも難関私立中に合格できた理由

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▼INDEX
1. 考えてもいなかった中学受験。しかし本人がやる気になり…

2. 親は勉強を見ない方がいい!?大切なのは両親の役割分担

3. 中学受験は人生最初のハードル。その経験は、これからの糧になる


考えてもいなかった中学受験。しかし本人がやる気になり…


「こんなにお金払ってるんだから、成績が上がらなくてイライラするのもわかるよ。でも真凛もがんばってるし、あんまりキツいこと言うのはやめようよ」

リビングのソファに腰掛け、ガックリと肩を落とす夫・賢治。その横に座り、私は慰めるようにポンポンと肩を叩いた。

私たち家族は小6の娘・真凛の中学受験のことで、日々頭を悩ませている。受験塾にどれだけお金をかけても、なぜか算数の成績が上がらない。

それで夫が真凛を責め、娘はスネて勉強部屋に閉じこもってしまったのだ。

「やっぱり僕たちは、中学受験をしたことがないし…。経験がないぶん、焦ってるのかもしれない」



元々、都内のお受験事情なんて少しも知らなかった私たち。もちろん娘に中受させるつもりもなく、小学校に進学してしばらくは、塾にも通わせていなかった。

それなのに小3の夏、真凛がいきなり1枚のチラシを持ち帰ってきたのだ。

「この科学実験教室、面白そうじゃない?私、これ行ってみたい」

それは中学受験塾として有名な、日能研が開催していたイベントのチラシ。科学実験教室は日能研が不定期に行っている『GEMS』という体験講座で、科学と数学の参加体験型プログラムだと書かれていた。

― 勉強することに興味を持つのは、悪いことじゃないし…。行かせてみようかな。

そんな軽い気持ちで通わせたのに。後日、娘は驚くべきことを口にしたのだ。

「実験教室が面白かったから、この塾にも通いたい。私、中学受験もする!」

「待ってよ真凛、そんな簡単に言われても…。受験勉強だって、ついていけるの?」

すると焦る私を横目に、黙って話を聞いていた夫が、こう言った。

「日能研に入るにも、入塾テストがいるみたいだけど。とりあえずこれを受けてみて、その結果が出てから考えてもいいんじゃないか」


― そんなにうまくいくわけないよなぁ。勉強だって、学校の授業と宿題だけだったし。

そう考えていた私の思惑は外れ、娘は上位クラスに入れるほどの成績を取ってきた。そしてこの結果に、思いの外喜んだのが夫だった。

自らネットでお受験情報を検索し、志望校選びまで始めたのだ。

「1月入試を滑り止めって形にして、2月に都内の本命校を受けるのが一般的らしいよ。家から通える学校だと、淑徳与野と大宮開成、栄東中学かな…」

「ねぇお父さん。私、学習院女子の中等科に行きたい!気になる部活があるの」

こうして、あれよあれよという間に中学受験をすることが決定してしまったのだった。

それから日能研には週2で通い、学校を終えると17時には塾へ向かう日々。夜ご飯も20分ほどの空き時間で済ませ、それ以外の時間は21時まで勉強に集中させた。

小6に上がる頃には塾を週5回まで増やし、日能研の系列である、個別指導塾のユリウスにも週1で通わせたのだ。

帰宅後は睡眠を優先して自宅学習はしなかったものの、そのぶん朝早く起きて、計算ドリルに取り組む時間を確保した。

どうしても算数が弱かったので、基礎となる計算力のスピードと正確性をつけるため、夫が時間を計って解かせたのだ。

それでも娘の算数の成績は、なかなか上がってこない。こうして痺れを切らした夫は、真凛のことを「ちゃんと勉強してないから成績が下がりっぱなしなんだ」とキツく叱ってしまったのだった。

― このままじゃ親子仲も最悪なままだし、成績も下がったまま受験本番だよ…。どうしよう。

そのとき私は、あることを思いついたのだった。


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