30.5歳~女たちの分岐点~前編 Vol.1

元TBSアナ笹川友里。ADから女子アナへ異例の抜擢、そして人気絶頂で退社…そのワケとは?

27歳で太田雄貴さんと結婚、家庭に専念するつもりが…


―― その後、アナウンサーとして順調にキャリアを築いていた笹川さんですが、2016年5月には日本フェンシング界初のオリンピックメダリスト・太田雄貴さんとの交際が報道されました。


はい。そして、翌年12月に結婚しました。それまでの私は、結婚のタイミングや年齢にこだわりはあまりないタイプでしたが、人生って何が起こるかわからないですよね。

結婚したのは、私が27歳、太田が32歳の時のことです。

―― その出会いについて、詳しく聞いてもいいですか?


お付き合いしたのは3年程。夫とは、私が20代前半の頃、仲の良い先輩の友人として初めてお会いしました。

その頃を思い出すと、テレビの印象通り明るくて優しくて面白い素敵な方だという印象はありましたが、深く連絡を取り合うことなく時は流れ…。フェンシングの大会でメダルを取ったニュースを見かけたときに「おめでとうございます」と連絡する程度でした。

―― それが、いかにして交際に発展したんですか?


当時の私はアナウンサーとして2年目を迎えた頃で、進行を務めていた『王様のブランチ』で肉フェスのロケに行く機会があって、その時のナビゲーターが寺門ジモンさんだった。

その時に、太田がジモンさんと仲が良いという話をなぜか急に思い出して、仕事が終わったあとに「ジモンさんにお会いしましたよ」って何となしに連絡したんです。それをきっかけに、時々食事をご一緒するようになり、自然と距離が縮まりました。


―― そして2017年9月、笹川さんが27歳を迎えた誕生日にプロポーズ。驚いたのは、結婚後、笹川さんが仕事を辞めて家庭に専念するつもりだったということ。


はい、結婚したら仕事をセーブして家庭に入るのかなあと思っていました。

夫と交際を始めるまでは、結婚しない生き方を選ばれている女性もかっこいいなと思っていましたし、結婚に対してそこまで自分で思い描く理想像があったわけではありませんでした。

私の両親は20代半ばで結婚し、姉と私を育ててくれたので、なんとなくその形が自分の中でのスタンダードになっていたのかもしれません。

一方で、夫は現役を引退したとはいえ社会で活躍していくべき人だと心から思えたので、私はそんな彼を裏で支えたいと考えていて。

しかし、専業主婦になることについては…、まさかの夫からのNGが出ました。

―― 当時、太田さんからは何て言われたんですか?


そんな考え方、やめた方がいい、と言われました。

専業主婦っていう道も素晴らしい生き方だと思うけど、これからの時代は社会とどんな形でもいいから接点を持っていた方が良いし、あなたの性格を考えると尚更だと。

とにかく、僕を支えるために家に入るなんてやめてくださいって言われました。

―― 2019年6月、28歳で第一子を出産されて育休をとったものの、1年で職場復帰されたのは、そういう経緯があったんですね。しかし、2021年2月末にTBSを退職して、同年3月には会社「setten」を設立した。これには、どういう事情があったんですか?


それが…少なくとも育休が明けた時点ではTBSを辞めるとは考えていませんでした。仕事と育児を両立できるのかなど不安はあるもののとりあえず職場復帰して、これまでと同じようにアナウンサーの仕事を続けるものだと…。

TBSを辞めて独立しようと決意したのは、30歳になる直前。実際に退職する半年ほど前、職場復帰してからのことです。




女性がキャリアチェンジを決意する「30.5」歳。それは笹川さんにとっても同じで、ちょうど変化の時期だった。

一方で彼女の場合は、育休を経ていざ独立を決意するまで、「空白の数ヶ月」があったことがわかる。

その期間に何があったのか――。

そう笹川さんに尋ねると、シンデレラストーリーをものにし、順風満帆に見える彼女の人生も、都合よく切り取った“ほんの一面”に過ぎないことがわかってくる。

続く後編では、この「空白の数ヶ月」を明らかにするとともに、彼女が20代後半で抱えていた等身大の胸の内を語る。


▶他にも:「毎日ピンチの連続です。でも…」TBSの“朝の顔”・田村真子が語る『ラヴィット!』の魅力

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「アナウンサー時代は葛藤の連続だった」と語る笹川さんに訪れた、人生の大きな転機とは…!?


取材・文/風間文子

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