大人気の「もつ焼きのんき」で四谷三丁目をけん引する社長が、この街の魅力を紐解く

「荒木町はいい意味でクセのある店が多い(笑)。新旧がバランス良く共存する街」


バブル期に栄華を極めた荒木町。明治の頃は「お江戸の箱根」と呼ばれ、多くの見物客が集まる名所だった。

それをきっかけに花街へと発展したといわれており、荒木町には往時のひそやかで艶っぽい雰囲気が残ると表現されることもしばしば。

今と昔で変わったことは?


「フジテレビが河田町にあって、日テレが麹町にあったときが荒木町の黄金時代というイメージが長くありました。会員制、紹介制という札を掲げるスナックやバーが多くあって一見さんは入りづらい雰囲気でした。

社屋が移動してから、一気に街が静かになって、ひとつの時代が終わってしまったような寂しさを感じたこともありましたが、2010年中頃から新しいお店が増えはじめ、街に活気が戻った気がします。

荒木町のもともとの性質といいますか、いい意味でクセのある店が多い(笑)。僕もつねに店をブラッシュアップさせなくてはと刺激になります。

一方で麻婆豆腐で有名な『四谷 中国料理 峨嵋山』のように変わらぬ味で愛され続けている店もあり、新旧がバランス良く共存していることで街全体に心地良いグルーヴ感が生まれている。

地域のコミュニティーが発達しているから、困ったときは助け合うというムードもあって働くのにも住むのにも心地よい場所です」

実際、ここ数年で新築マンションが多く建てられ、小中学校の児童数も年々、増加しているのだそう。

地域に暮らす人々のコミュニティーが発達している理由のひとつに昔から続く、須賀神社の奉祝大祭も関係している。

「須賀神社といえばこの辺りの氏神様です。本社神輿が出て、100人くらいで担ぐ。こうした祭りが地域の結束を深めてきたことは間違いありません」

そして、コミュニティーの発達は地域の安全性にもつながる。

地元に暮らす人はもちろん、この街の店や雰囲気に引かれて通う“長年のファン”によっても治安が保たれていると荻野さん。

「これだけ飲食店や酒場が密集しているとトラブルが起きることも珍しくないけれど、四谷三丁目や荒木町は都内でも治安の良さは抜群。

ここに住む人だけではなく、地域を愛する人たちがみんなでこの街の安全を守っていこうという意識の高さを感じます」

四谷三丁目や荒木町は、飲食店や酒場が密集するエリアだけに、遊び慣れた大人がお忍びで通う街というイメージが先行していたが、ファミリーにとっても安全で生活しやすいという新事実。

この街の変遷を見続けてきた“地元のプロ”の言葉には、説得力がある。

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