【ほろ酔いシネマVol.5】クリムトの名画をめぐる感動作×「ムートン」の赤ワイン

毎月、映画とワインのマリアージュを提案していく連載・ほろ酔いシネマ。

今月は、1枚の名画に秘められた歴史を描いたヒューマンドラマ『黄金のアデーレ 名画の帰還』。

名画がラベルを飾ることでも知られている「ムートン」の末っ子ワインを味わいながら、おうちシネマを楽しもう!

▶前回:Vol.4「『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』×チリのベティッグ」

名画の返還を巡る法廷スペクタクル


:ねえねえ、クラリン(編集担当の嵩倉)。これまでに最高額の付いた絵画って何か知ってる?

嵩倉:やっぱり「モナ・リザ」じゃないですか?

:それはもし、ルーヴル美術館がモナ・リザをオークションに出したらの話でしょ。

実際にオークションにかけられ、史上最高額で落札されたのは、同じくレオナルド・ダ・ヴィンチが描いたとされる「サルバトール・ムンディ」。

2017年におよそ4億5,000万ドル、当時の日本円に換算して500億円で落札されている。

嵩倉:都内の三ツ星レストランで何回食事ができるかしら?

:たぶん毎日店を変えながら、一生三ツ星で食事できると思う。

嵩倉:でもなんでそんな質問を?

新谷:ええ、それはですね……。今回、柳さんに観ていただいた映画が『黄金のアデーレ 名画の帰還』という、グスタフ・クリムトの名画にまつわる実話を基にした映画だからですよ。

:はい、そのとおりです。

クリムト作「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I」は、戦時中、ナチス・ドイツによってオーストリアにいるユダヤ人の迫害が激化した時代、ウィーンのベルヴェデーレ美術館に収蔵された名画。

オーストリアでは、ナチスが不法に収奪した美術品を元の所有者に戻す返還法が1998年に成立し、この肖像画のモデルとなったアデーレ・ブロッホ=バウアーの姪で、アメリカに亡命したマリア・アルトマンも絵の返還を要求する。

ところが、「オーストリアのモナ・リザ」といわれるこの名画を、オーストリア政府や美術館がそうたやすく返してくれるはずがない。

マリアは若手弁護士のランドル・シェーンベルクとともに、返還を求めて法廷に臨む……というストーリーだ。

今月のワインシネマ『黄金のアデーレ 名画の帰還』


【STORY】クリムトの名画「黄金のアデーレ」に秘められた歴史を描く、実話を基にしたヒューマンドラマ。

第二次世界大戦中、ナチスに略奪されたその名画の返却を求めて、82歳のマリア・アルトマンは、駆け出し弁護士のランディとともにオーストリア政府を相手に裁判を起こす。

主演はアカデミー賞俳優のヘレン・ミレン。


クリムトの名画に隠された家族の物語と戦争の悲劇。主人公ふたりの絆に感動する


1枚の名画を通じて、戦争の悲劇、家族の絆、そしてマリアとランディの友情が描かれ、名画にこんな秘話があったのか!と驚くこと間違いなし。

そして、この映画を観た後は絵画を見る目が変わるはず。



新谷:マリア役は映画『クィーン』でエリザベス2世を演じ、アカデミー主演女優賞を受賞したヘレン・ミレン。ランディを『デッドプール』のライアン・レイノルズが演じています。

この映画はストーリー展開がドラマチックなうえ、法廷もののスリリングさがあり、さらに名画の歴史も学べるという、ものすごく濃い内容なんですよ。

:僕も観ていて、ぐいぐいと惹きつけられました。それに……。

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