あの人が通う、特等席のカウンター Vol.1

ブレス

BREATH

Vol.1 りょう

オンとオフのスイッチを上手に切り替えること。
それは働く女性たちの、大事な課題。実は女優だって、同じこと。

curated by
りょう

愛する町に佇む1軒のカウンター席は心のお守り

「行きつけの店がある」

それは、自分に還る場所があるということ。仕事帰り、仲間とはしゃぐのも楽しいけれど、大人の年月が積み重なるうちに、夜の過ごし方も少しずつ変化する。

りょうさんが代々木上原のダイニングバー『ブレス』に出逢ったのは、店のオープン間もない11年ほど前。人気ドラマに立て続けに出演し、クールビューティとして硬質で独自な存在感を放っていた、その頃。

「確か、食事後にご友人たちとふらり、いらしたのが最初でしたよ」

店主・遠藤篤法氏の言葉に、そうだったかもしれないですね、とうなずく彼女。プライベートな時間を過ごすことの多い代々木上原は、りょうさんにとって心安らぐ大切な町だという。中でもこの店は1日の終わりに立ち寄る、締めの1軒。

「ここは、すごく落ち着く。考え事をしたり、逆に無になったり。飲むのは1杯か2杯。仕事帰りのクールダウンの場所かな」

以前は大勢で来ることも多かったこの店に、今はひとりか、ふたりで訪れる。

「ここなら、ゆっくり話せるから」と、初めて飲む人を誘うことも多い。遠藤氏が生み出すお客との適切な距離感が、彼女のための境界を作る。オンとオフ。女優と私人。心を着換えて安らかに眠る、彼女のために。

夜が深くなると常連客がカウンターを占め、店は気持ちのいい喧噪に包まれる。本当のことを言えばごくたまにしか、りょうさんはカウンター席には座らない。

「鮨、和食、カウンターで仕事を見るのは大好き。でもここでは時期尚早、かな?」

11年。演技の幅を広げることに悩み、素の自分を出すことに戸惑いを感じた時もあった。だが自分に還る時間を確保し、流されずに生きてきた今、等身大の自分に重なる役柄が、舞い込んで来るようになった。

「淋しくなった時のために、この店のカウンターは取ってあります」

お守りがあると、働く女は安心するのだ。

左.オリジナルシードル(グラス)¥945。遠藤氏のご実家のリンゴ園で採れたリンゴを使った特注品。イタリア産無添加の塩水グリーンオリーブ¥735と共に

右.フードも多彩な店だがりょうさんは「ここで締め1杯」が多い

ウィスキー、ワイン、カクテルまで『ブレス』はオールマイティ

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