2022年はNHKの朝ドラ『ちむどんどん』から、TBS系ドラマ『クロサギ』まで、出演した作品は実に10本以上。
途切れることないオファーは、彼が若手実力派俳優として着実にキャリアを重ねている証拠だ。
だが、まだまだ20代。もう少し浮ついた雰囲気を纏っていてもおかしくないのでは?そう、こちらが訝しがるほど、落ち着き払った語り口。
妙に心地いいのだが、一体それはどこに起因するのだろう。
「たぶん、親からずっと“言葉に責任を持ちなさい”って、言われて育ってきたので、その影響でしょうね。でもインタビューはそんな苦手なタイプじゃないですよ。お話しするのは好きなので」
そう言ってくれて、少しホッとした。確かに彼のキャリアを考えれば、地に足がついているのも、当たり前かもしれない。
9歳から子役として活動し、意思を持って「役者になる」と決意したのは12歳。すでに人生の3分の2は、役者として生きているのだから。
今日まで役者ひと筋を貫くのは、「役者として、いろんな人生に触れて、いろんな価値観を知りたい」という思いが、モチベーションとしてあるからだという。
そんな自身の役者論に話が及ぶと…。
「他の人のことは分からないけど、僕は役者として匿名性を持ちたいと思っているので、あまり自分をさらけ出すものじゃないと考えています。
作品の世界に没入してもらって、役として見られることがやっぱり一番いいので。
だから、街で“矢作さん”(※『ちむどんどん』で井之脇さんが演じたヒロインの先輩の役名)と声かけてもらうのは、嬉しいですね。
だって、演じた役が作品を飛び越えて、この現実の世界で呼ばれるって、すごいことじゃないですか」