「それをパソコンと呼んだり、パッケージソフトと呼んだり、いろいろな呼び方はある。でも結局、基本はデジタル情報産業なんです。
そのデジタル情報産業でナンバーワンになる。僕は、そのインフラ提供者になりたい」
1990年。ある雑誌記事のインタビューで、そんなことを答える30代そこそこの男がいた。
現ソフトバンクグループの社長、孫正義氏(64)だ。
30年以上経った今となっても、基本的にその軸は全くブレていない。
当連載の最後となる今回、業界の第一線で活躍する稼ぎ人たちに「尊敬する経営者・実業家」を取材した。
そのなかで最も評価が高かったのが、冒頭で紹介した孫正義氏である。
「理念に向けて、ひたむきにやり切るところ」(50代男性・会社経営)
「グローバルな視野と表現力は参考にしたいけど、簡単に真似できるものじゃない」(40代男性・スタートアップ企業経営)
「借金の額が尋常ではない」(40代女性・会社経営)
評価の声は様々だが、彼を尊敬する経営者として挙げる人々は驚くほどに多い。
では、ほかにも稼ぎ人たちはどんな経営者や実業家の名を挙げたのだろうか。
今回、独自調査として、東カレ倶楽部メンバー内の130人にアンケートを実施。
回答者のデータは男性55%、女性45%、平均年齢は39歳、平均所得は4,788万円。
本連載では社会的に活躍し、成功を収めている人々を“稼ぎ人(かせぎびと)”と定義づけ使用する。
前回の記事はこちらから
「アイツのせいで出世コースから外れたのか…?」社会人が、後輩育成に失敗する理由
▽INDEX
1. 稼ぎ人が尊敬している、経営者ランキング!
2. 孫正義、豊田章男の魅力が培われたルーツとは
3. 有名経営者の原点を探り見えた共通点
稼ぎ人が尊敬している、経営者ランキング!
時々刻々と変わるビジネス界に神経を研ぎ澄ます稼ぎ人ともなると、職種や肩書はいろいろあれど、独自の視点を持ち合わせている人が多い。
名経営者ランキングの常連を挙げる人がいる一方で、一般的にはまだ馴染みのない経営者の名を挙げてくるなど、その内容はバラエティーに富んでいる。
その上位10位までの結果が、以下のようになっている。
上位3位までは説明するまでもないだろうが、4位にランクインした丹下大氏(47)はソフトウェアのテストや品質保証を手がける企業「SHIFT」の社長だ。
昨年には同社の株価が急上昇したことにより、丹下氏が世界のビリオネアの仲間入りを果たしたことでも話題になった。
5位の森岡毅氏(49)は、低迷していた「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」をV字回復に導いたことで一躍その名を轟かせた。
「メディアでお見かけしたときのコメントに『イノベーションではとりあえず、打席に立ってバットを振る』と仰っていたのが印象的でした。
打席に立ってバットを振ってみないと、良い悪いも見えてこないので、悩むなら実践してみる。とにかくわかりやすい例えが好印象です」(40代男性・飲料メーカー社員)
6位にランクインした「モスフードサービス」の櫻田会長(71)は、2020年で代表権は外れた。
しかし「今でもベンチャー経営者のような学ぶ姿勢を持たれていた事に感銘を受けました」(40代男性・エンタメ企業経営)といった評価が多い。
7位の久保裕丈氏(41)はイケメン社長としても有名だが、同氏は過去に創業した「ミューズコー株式会社」を設立から3年で「株式会社ミクシィ」に17億円で売却。
新たに創業した「クラス」では家具・家電のレンタルサービスというユニークな事業を展開している。
8位の「高倉町珈琲」とは聞きなれない会社だと思われるかもしれないが、会長である横川氏(84)はあの「すかいらーく」創業者だ。
圧倒的な顧客視点とスピード感は、いまだ衰えていないという。
9位の磯崎社長(68)は「大企業のなかで固定観念に捉われない大胆な改革」が評価され、10位の三枝氏(77)は事業再生専門家として今でも後進の経営者から慕われている。
まさに新旧入り交じる結果となったが、コロナ・パンデミックに加えてロシア・ウクライナ問題と、国内のみならず国外でもアクシデントが頻発する不安定な時代に、彼らの何が人々を魅了して止まないのだろうか。
最終回はここに注目し、上位にランクインした経営者たちの魅力の原点を辿りながら探ってみたい。
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