男と女の怪談~25歳以下閲覧禁止~ Vol.19

2億円を持って消えた「糟糠の夫」。天才実業家だった妻を棄てた男の、衝撃の本心


第十九夜「頼りない男」


春斗と出会ったきっかけは、学生時代の新聞社でのアルバイト。

初対面の印象は「寡黙で愛想のない男の子」だった。



大手新聞社で定期的に行われる世論調査は、新聞社の社員と、大学生を中心とした大勢のアルバイトスタッフで行われていた。

一応マスコミバイトだし、タフだが短期集中でまとまったお金が稼げる。ゆえに一部の名門大学の学生間で、人気のコネバイトとして脈々と受け継がれていた。

私は大学1年生の時にサークルの先輩の紹介でこのバイトを始め、数か月に1度、4~5日集中的に働いた。

2年目にグループリーダーとして抜擢され、3年目には大学生バイト集団の代表として、社員に交じって打ち合わせに参加するほど重宝がられていた。

そんな私の下につけられた、ぬうっと体の大きい後輩・春斗。彼は愛想がなく、世論調査員に必要な“にこやかさ”に欠けていた。

社員から「紘子ちゃんひとつ教育してやってよ」と頼まれて注視しているうちに、私は彼がとても真面目な性格であることに気が付いた。

「春斗君さ、これ8回も訪問したの?凄いね。ちょっとうまくやろうと思わなかった?」

丸1日足を棒にして担当エリアの調査表を回収してくるのがスタッフの仕事だ。でも多少目を盗んで息抜きするのは織り込み済み。率直に聞いてみると、春斗は首に手をやってぼそぼそとつぶやく。

「思いつきもしなかったです」

その時、私はとても驚いて、それからなんとも言えない好感を彼に抱いた。

……だからといって、まさかその6年後、彼と結婚するとは予想もしなかったけれど。

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