時計じかけの女たち Vol.3

美容外科医として輝く28歳の女が、かつて友人からされた痛烈な仕打ちとは

時計はかつて人々にとって、時間を知る大切な道具だった。

しかしスマートフォンが流通した現在、時計は単なる装置ではない。

小さな文字盤の上で正確に時を刻みながら、持ち主の“人生”を象徴するものなのだ。

2020年、東京の女たちはどんな腕時計を身につけ、どういった人生を歩むのかー。

前回は、グランドセイコーを身に着ける春香を紹介した。今週登場するのは、どんな時計じかけの女…?

▶前回:「21歳の時、年上女から酷い扱いを受けて…」女が見た目ばかり気にするようになったキッカケ


【ルイ・ヴィトンの時計を身に着ける女】

名前:朝子
年齢:28歳
職業:美容整形外科医
家族構成:夫(28歳)娘(1歳3か月)

絶えない患者と幸せな家庭


「朝子先生、インスタで症例を拝見させて頂きました」

美容外科医の朝子は、目の二重手術が格別に得意だ。

最初から人気だったわけではないが、じわじわと口コミやインスタで人気が広がり、今では予約困難な医者になれた。ありがたいことに育休からの復帰後も忙しい。

夫もまた、医師として働いている。娘は毎日すくすく成長していて、片時も目を離したくないのが本音だが、仕事も復帰したばかりで楽しい。

朝子が仕事の時つける時計は決まって、ルイ・ヴィトンのタンブール ラブリーカップ。

―これを見ると、あの時の負けたくないという気持ちを思い出すから。

今から10年前。医者になりたての兄と、地元の百貨店に買い物に出かけたときにこの時計と出会った。

朝子の家は、地元で知らない人はいない医院である。祖父の代から続いており、父も兄も医者だ。

そんな兄から、彼女への誕生日プレゼントを買うのに付き合ってほしいと頼まれ、この日は渋々の外出だった。

店であの時計を見つけたとき、ずっと大好きだったアイドルと目が合ったみたいな、片思いの相手を見つめるような錯覚を今でも覚えている。

「入荷したばかりなんですよ。奥の部屋でご覧になりますか?」

時計を食い入るように見ている朝子の姿を見て、おねだりをすると察したのか、朝子の家の担当さんがすぐに声をかけてきた。

―どうしよう、ものすごく可愛い。欲しいけどまだ高校生だし…。

ホワイトシェルの文字盤、12ポイントのダイヤがさりげなく光っており、美しい。

すると兄が、隣でこう言ったのだ。

「お、かわいいですね。僕、これを彼女へのプレゼントにしますので、同じのを2つください」

2つのうち1つは、なんと朝子に買ってくれたのだ。

嬉しくて飛び上がりそうな気持ちを、コントロールできなかった。志望校への合格の約束をし、来る日も来る日も身に着けて学校に通った。

このあと、辛い出来事が朝子を待ち受けているとも知らずに。

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