東京テラス族 Vol.5

平凡な女と思っていたのに、あの夏の夜が忘れられない…。恋と友情のあいだで揺れる男心

—“何者かになりたい”。

東京で生きながら、漠然とそう願ったことはないだろうか。

複雑に関係が絡み合う、“テラス族”の男女4人。彼らがいつも集うのは、とびきりの雰囲気の中でお酒や料理が堪能できる、東京のどこかのテラス席。

今ここに、熱くて切ないラブストーリーが始まるー。

◆これまでのあらすじ

裕太とようやく結ばれた優子。しかしその一方で、麗華はずっと思いを寄せてくれていた裕太の存在の大きさに気がつき始め…

▶前回:「こんな簡単に、成り行きでイイの…?」デートの夜、男から誘われた女が取った行動


修二の場合。


さっきから、皆何かが変だ。

長すぎた梅雨がようやく明け、カラッと晴れた土曜の昼下がり。国立競技場前にある『E'VOLTA』のテラス席で集まっているというのに、みんなの態度が明らかにおかしい。

まず、裕太と優子は妙によそよそしい。

「優子、この前の裕太とのドライブどうだったの?」

アイスティーを飲みながらあえてこの質問を投げかけてみると、分かりやすく二人揃って動揺している。

「え!?あ、な、何も…特に何もなかったよな?優子?」
「う、うん。もう普通〜〜〜に楽しくドライブして。葉山の海、綺麗だったねぇ?」

そんな二人を見て、僕は適当に相槌を打つ。

「ふぅん」

だが二人よりも、僕が最も違和感を抱いたのは麗華だった。

今日この店に来てからあまり話していないし、ずっと裕太と優子を交互に見ているのだ。いつもの麗華なら、ふわっとしていながらどこか堂々としているのに、何かが違う。

「麗華は?なんか変わったことあった?」
「べ、別に何もないけど?」

どうやら、僕の知らないところでそれぞれの夏は動き始めていたらしい。

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