妻の“離婚願望”にまったく気付かぬ夫。20歳年下の美女を嫁にした、男の自惚れ

妻が若い男と?好きにすればいい


医師となり、大学病院勤務を経て美容クリックを開業して軌道に乗せ、現在では都内で3つのクリニックを経営するまでになった秀俊。

前妻との結婚の際に建てた成城の一軒家のローンも、すでに完済している。

−茜との結婚生活に、不安などあるわけがない−

先ほど、彼は自信満々にそう言い切った。

それはつまり、こういうことだ。

今の成功は、秀俊が一人で実現してきたこと。彼の軌跡に、茜は何一つ関わっていない。

つまり茜がいてもいなくても、秀俊は今と何ら変わらぬ生活を続けることができるのだ。しかし、茜の方はというと…。

「茜は、僕から離れられませんよ。一度上がった生活レベルを下げることがどれだけ苦痛か。僕と離婚なんてしたら、茜は今の贅沢な暮らしを捨てなくてはならないんだ。そんなことを彼女がするわけないだろう」

そんなことはありえないと、心の底から信じているかのような口ぶりだ。

「え?それでももし茜が、例えば若い男と再出発するために家を出ていくなんて言い出したら…?」

失敬だなと苦笑いしながらも、秀俊は真剣な表情で考えてくれた。そうして「うーん」と短く唸った後で、彼はこう結論づけたのだった。

「その時は、好きにすればいいんじゃないか?冷静な損得勘定もできず、感情に任せて動くような女性とはどうせ長くはいられない。その時は、僕の見る目がなかったんだと諦めますよ」

−好きにすればいいんじゃないか?−

秀俊はあっさりとそう言い切った。

もし、万が一、茜が勢いに任せて若い男と過ちを犯すようなことがあれば、そしてその行いが秀俊にバレたら…まず間違いなく、この夫婦は破局することになるだろう。

茜の理性と我慢が、どこまで続くか。

広川家の結婚生活の継続は、この一点にかかっている。


▶NEXT:11月9日 土曜更新予定
狙い通り、良家の子息と結婚した女。しかしその現実は…。

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