理性より本能。自分の感情には嘘がつけないタイプ。
「周りから言わせると、恋をしていると、全身から好きがダダ漏れているみたいです(笑)。相手にも、私の気持ちはすぐ伝わっちゃう。
でもそれって、始まってすぐ彼が〝お腹いっぱい〞になってしまいそうでしょ?
だから、ファーストデートは、2軒目は行かずに帰ろうかな、と。
だって、この人と本当に付き合いたいなって思ったら、最初で距離を縮めすぎちゃうのは……ねぇ。
恋の始まりって、本当に楽しいじゃないですか。だからゆっくり味わいたいんです」
ちなみに、彼女の理想のファーストデートは焼肉。
「男の人も焼く作業があるから、自然とリードしやすい気もします。
女子からすれば、彼がどんな人なのか、焼き方やオーダーの仕方で、ある程度わかるというか。
個人的には、ご飯までしっかり食べてくれる人が好き。見てて気持ちいいんです。
お酒はもちろん、心の入り口をお互いゆるめるためにも、ファーストデートには欠かせないものかもしれませんね」
時折見せる切ない眼差しや、幸福感たっぷりの笑顔。きっと、いつかの恋を思い出しながら答えているのだろう。
恋愛について自らの言葉で語るときの彼女は、同性から見てもとても艶っぽい。
話の流れからすると、恋のスタンスは、愛されるより愛したいタイプなのだろうか。
「うーん、やっぱり、愛されたいです(笑)。ただ私は、愛されているというのを始まりの時点で感じてしまうとダメなんですよね。
そのバランスって、すごく難しい。ふたりの想いがイコールな瞬間なんて、完璧にはないじゃない?
でも人間って、結局は愛されたい生き物だとも思いますし……。年を重ねていけばいくほど、恋愛って奇跡だなって思うんです。
理想や条件をいくら並べても、それどおりには絶対にいかないから」
そう言って少し間を置き、こう続けた。
「だからやっぱり、母の言葉の通り、結婚する人は大好きな人でありたいですよね」
―― about 仕事
デビューして約15年。大学を出て新卒で働き始めれば11年目。仕事での責任がより大きくなってくる立場にいることは、彼女も例外ではない。
「30代になってからは、言動、行動に対する責任について、以前よりもヒシヒシと感じていますね。
昔はスタッフさんも同業者も当然ほとんどが年上の先輩たちでしたけど、今は違います。
年下もいるし、同世代のスタッフも多くなってきて。自分の発言がいろんなジャッジにつながることも多いぶん、不用意なことはできないな、って。
とはいえ、一方で自分の意見が通りやすくなる場面も増えました。それは仕事の充実によりつながっていますね」
責任が大きくなるにつれ、抱えがちなストレスやフラストレーションとは、どう付き合っているのだろうか。
「イレギュラーなことは、絶対につきもの。だから起こったときに、自分がブレないでいることが大事なのかなと。
もう、やってられない!みたいな爆発や、そこに至るまでの溜め込みは、いまはないですね(笑)。
大人になって冷静になったのもあるけれど、大きいのは、助けてくれる人たちの存在。
いろんな人のアドバイスや励ましの言葉で、辛さがマイルドになる瞬間は日々あって。きっと、それに助けられているんだと思います」
そうした実感は、作品にもつながっているのだという。
「今回のアルバムで初めて両親のことを想って『咲いた春と共にあなたへ贈る言葉』という曲を書きました。
家族愛、人間愛みたいなものの魅力に気づけたのは、本当にここ最近のこと。これも今までになかった大きな変化かもしれない」