「結婚しない関係を選びました」男を見抜くプロが行き着いた、究極の関係とは

「人間ってやはり似たような方同士が自然と気が合ったりお付合いしたりしますよね。結局は…」

莉里花の言葉に思わず深く頷いてしまった。そして、ふと目の前に座る美しい彼女とそのヒミツの彼にも似た所があるのだろうか?と思い、再び鋭い眼差しで牽制される事を覚悟で聞いてみた。

すると意外にも、彼女はふっと柔らかい顔になり「そうかもしれませんね」と言った。

「彼も私と同様、独りで生きていくには十分な財産を持っています。お互い結婚願望もなく利害関係も一切なく、一緒にいる事で精神的な安定を得る事ができる…とても心地の良い関係です」

そう話して手元の時計に目を向けた彼女は「あ…途中でごめんなさい。時間になりましたので失礼しますね」と言いソファーから音もなく立ち上がった。

「後半の話は流して下さいね」

彼女は立ち去る間際に、人差し指を唇に当て美しく微笑んだ。

「明日は、和子さんとベントレーの彼と一緒に、祖母のお墓参りに名古屋へ行く予定なんです。近い将来にお墓を東京に移し、最期はお世話になった祖母と和子さんと一緒になりたいと思っています」

いつかそんな彼女のお店に行ってみたいと思い、夜の銀座に詳しい人に店の名前を言ったら「一生縁のない場所だからあきらめろ」と一蹴されてしまった。残念である。

ベントレーコンチネンタルGTの助手席に座る女性は、あり余る資産と男を見抜く力を持つ異世界の蝶であった。そしてもう二人きりで会える日は二度とやってこないだろう。


※本文内の車に関する価格や情報は、取材当時の物で現在と異なる場合があります。

▶Next:9月10日 火曜配信予定
彼では満たされない…至極の世界を知ってしまった女

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