“女友達”がやたらと多い男を好きになった女の悲劇

女友達からのLINE


「誤解のないように言うと、彼は別に浮気をしているわけじゃないんです。彼自身はやましい気持ちなどなくて。だから驚きなんですけど、LINEのポップアップも非表示じゃないんです。メッセージがそのまま画面に出るタイプで、しかも無防備に置きっ放しにしたりするから、何度も内容を目にしてました」

しかし彼のその無防備さが仇となった。雄輔にやましい気持ちなどなくても、彼の周りをうろつく“女友達”の方にその気がないとは限らない。

「ある日、神谷町にある雄輔のマンションに泊まった日のことです。彼がシャワーを浴びている時に、彼のスマホに表示されたLINEのポップアップをたまたま目にしてしまったんです。

“週末のホムパ、私お酒買ってくね!”って書いてありました。Ayumiというアカウントからのメッセージです。この名前なら、聞いたことがありました。確か雄輔の大学時代のゼミ仲間で、週末のホムパというのは、おそらくその仲間で集まりでもあるんだろうなと予想できました」

歓迎はしないが、昔の仲間で集まることにまで口を出すような彼女にはなりたくなくて、未央は見て見ぬ振りをしようとしたという。

しかし数秒後に再び届いたメッセージが未央を苛立たせた。

“雄輔はワインが好きだよね?何か買ってきてほしいものあったら言ってね。雄輔の好きなの買ってくー♡”

「ちょっと待って。この女、絶対に雄輔に気があるって思いました。勘ぐりすぎかもしれないって、自分を落ちつけようともしましたよ。でも、彼女がいることを知っていてハートマーク付きのLINEを送ってくる女って…。考え出すと、もやもやとした気持ちが胸に広がって、抱えきれなくなっちゃって、シャワーを終えて戻ってきた雄輔に思いをぶつけることにしました。たまたまLINE見えちゃったんだけどって前置きして」

しかし雄輔は何も、まるでわかっていなかった。

「何言ってんだよ、あゆみはただの友達だし。そんな昔の仲間との関係まで疑われたら俺、悲しいよ」

この返事を聞いて、未央は“この男は結婚に向かない”と悟ったという。

「雄輔は人懐こくて、誰とでもすぐに打ち解けられる社交的な男です。そういうを彼を好きになったのは自分です。女友達が多いことも、彼が女友達を信頼することも、何も悪いことではないのは分かってます。でも、恋人ならまだ許せても結婚するのであれば、こういう男はリスクが大きいと思いました。

たとえ雄輔に現時点で下心がなかったとしても、“女友達”がその気で、もし何かの弾みで言い寄ってきたりしたら…それを跳ね除けるだけの理性と冷たさを、彼が持ち合わせているとは思えません。

私、結婚には精神的な安定を求めているので。たとえ友達だろうが、周りに女の影が常に付きまとうような人は…やっぱりちょっと無理かなって。疑心暗鬼になって嫌な女になってしまう前に、自分から別れることにしたんです」

嫌いになったわけではない。しかしきっぱりと元彼に別れを告げたという未央。

彼女は今度、会社の先輩から紹介された、“とにかく仕事命”の経営者と会ってみるつもりだという。

結婚は、恋愛とは違う。恋心に惑わされず現実を直視し、負わなくて済むリスクを排除した彼女の判断は賢明と言えるだろう。

Fin.

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