実家暮らしの恋 Vol.8

「彼女の、どこが好きなんですか…?」24歳の後輩女が男に仕掛ける、同棲カップルを別れさせる為の策略

みなみのアイデアは、吉と出るか…?


みなみとの久しぶりの食事を終え、遥はいそいそと帰宅した。しかし、「今日飲んでくる」とのLINEを送ってきた圭介はまだ戻っておらず、部屋は真っ暗のままだ。

―私ばっかり、先に帰って来てる…。真っ暗な家は寂しい。こんなとき、実家だったら…

遥は、愛犬が走り寄って来る灯りのついた我が家の玄関を思い出していた。

―いけない、お風呂沸かして、朝の片付けもして…。

頭に浮かんでくる甘い実家のイメージを振り払い、残った家事に手を付け始める。

―「生活する」って本当に、大変なことね…。このまま圭介と話し合いができないのなら…

片付ける手がふと止まり、視界がわずかに滲んでいく。悲観的な思いが爆発しそうになった時、LINEが届いた。みなみからだった。

―みなみ:遥、今日はありがとう!

―遥:こちらこそだよ!もうちょっと頑張ろうって思った!

遥は思わず強がってしまう。

―みなみ:あのさ、さっき言ってた「気分転換」なんだけど。今度の週末、少し前に知り合った人がホームパーティーするんだって!経営者の人たちなんだけど、遥も来ない?

―遥:なにそれ、大丈夫なの?

―みなみ:大丈夫大丈夫!変にガツガツしてない人たちだよ。私もこの間1回行って楽しく過ごせたから。週末の1日くらいなら、遥も平気でしょ?

―遥:うーん、そうだと思うけど…

―みなみ:遥、あんまり強引には誘いたくないけど、このまま思い詰め過ぎちゃうのは良くないよ。ずっと一緒にいる方が良くないときだってある。お互いのために、1日くらい不在にした方がいいかもよ。

遥は、朝の食器がシンクに置かれたままの台所に目をやった。部屋干しの洗濯物にも、先週から洗っていないベッドシーツも。

…ちょっとくらいいいよね。

―遥:…わかった、行く!

遥はそっとクローゼットを開けた。圭介と外で会っていた頃に選んだ、色とりどりのデート服が出番を待っているように見えた。


ちょうどその時、がちゃり、と玄関の鍵を開ける音がした。

遥は思わず慌ててクローゼットを締める。なんとなく後ろめたかったのだ。

「…ただいま」

圭介がどさりとソファに座る。

「…おかえり」

圭介の耳元は赤く、かなりの量を飲んできたのだと遥にはわかったが、そ......


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