才色兼備。それは彼女を表す最適な言葉だ。
葉山泉、40歳。外資IT企業のPRとして働き、夫はベンチャー企業の役員。
容姿端麗で仕事ができ、その美しさは内面からも滲み出ている。
順風満帆な人生を歩み、誰からも羨ましがられる泉だったが、そんな彼女にも大きな試練が立ちはだかる…
40歳の誕生日
「誕生日、おめでとー!!」
泉は、今年で40歳になった。40歳になったとはいえ、泉はその年齢からは想像できないほどの美貌を持ち合わせていた。
透き通るような白くきめ細やかな肌にしっとりと艶のある髪、鍛え上げられたしなやかな身体つきに昔と変わらぬ美しい顔立ち。
彼女の容姿は、老若男女問わず憧れの的である。
その上、有名国立大学を経て、現在は世界的に知られる外資IT企業に勤めており、仕事もバリバリとこなしている。
「わー、ありがとう!自分が40歳になるなんて、想像できなかったな…」
今日は久々に学生時代からの友人で集まり、お祝いをしてもらっていた。
彼女たちは皆それぞれに、キャリアを積んだり家庭を築いて主婦になったりと境遇はバラバラだが、未だにこうして年に何度か集まる仲なのだ。
「泉はほんと、皆の憧れだよ。最近仕事も昇進したんだって?その上、ハイスペックな優しい旦那様とラブラブで、まさに理想の人生歩んでるよね」
友人達に煽てられるように言われ、泉は少し困ったように曖昧に微笑む。
たしかに、外から見れば順風満帆に見えるのかもしれない。自分の思い描いたキャリアも築けているし、愛する夫もいる。
しかし彼女には、胸に潜むある思いがあったのだ。