リストに加えませんか? 7.キャラ立ちバー Vol.2

バーニカ

BAR NICA

往年の名器が奏でる、柔らかな音色に浸る

左.針を落とす店主・岡村修平氏。ゆったりした空間性も魅力

右.マランツのプリアンプやガラードのレコードプレーヤー301など、マニア垂涎の名器が揃う

音楽に浸るという行為がスマートフォンなどで果たされる現代だが、本来、音楽とは肉体で奏でられ、肉体で感じるものでは?店内に響き渡るアルトサックスの温かい音色、女性シンガーの優しい声が胸に沁み入るとき、思いは確信に変わる。ジャズを中心に揃えたアナログ盤は実に1000枚。コレクションの持ち主である店主・岡村修平氏は言う。「最初はディスプレイ用と思って買ったレコードでしたが、音が全然違った」。34歳の氏はCD世代。衝撃から、持っていたCDは全部売り払ったという。

コンセプトは「古い機材で古い音楽を聴きながら、当時の酒を飲む」。そのため、プレーヤーや真空管アンプなどの音響機器はもちろん、ボトルもオールドを揃える。コルク栓のジョニー・ウォーカーをショットでちびちびやりながら、チェット・ベイカーに耳を傾け、シガーをくゆらせる至福──。「針が動いて音が出る。実はそれが一番好きなのかもしれません」。

デジタル化された都市に暮らす者にとって、この時間は貴重だ。

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