一見、何の問題もなく幸せそうに見える仲良し夫婦。
けれども彼らの中には、さまざまな問題を抱えていることが多い。
モラハラ夫と離婚した神山由香里は、気がつけばいつの間にか自分が不倫の加害者側になっていた。
彼女が北岡樹と不倫をした経緯とは…?
神山由香里の告白
私も、気づけば36歳。世間から見れば「おばさん」と言われてもおかしくない年齢になってしまった。
私は横浜のそこそこ裕福な家庭に育ち、容姿にも恵まれ、何不自由ない暮らしをしてきた。ただ、厳格な父の言うことは昔から絶対で、男性には従わなければならないと脳内に刻まれていた。
それでも、周りの男性たちは常に優しく、私はそのことを自覚することはなかった。
そう、結婚をするまでは…。
元夫である林田洋介と出会ったのは、同じ輸入会社に勤めている頃だった。経理をしていた私は様々な部署との関わり合いがあり、その中で人を寄せ付けないオーラを放った、恐ろしく仕事のできる彼が何だか気になった。
他の男性と違って浮ついた感じもなく、人の目をまっすぐに見て話す。その力強い眼差しに、私は一瞬で心を奪われたのだ。
「林田さんって、何考えているかわからなくて怖いよね」
周りの経理の女の子達はそう言って、あまり彼に近づこうとしなかったので、自然と私が洋介と関わることが多かったのだ。
ある日仕事で遅くなった帰り道、洋介と一緒になった。いつもは無駄口を一切たたかないその男が、一体何を考えているのか興味があった私は、思い切って言ってみた。
この記事へのコメント