カマトト狂騒曲 Vol.2

男に「大好き♡」と平気で言える女には、永遠に敵わない。地味な女子アナが感じた嫉妬


「翔子ちゃんのお兄ちゃん、慶應なの!?今何歳?共通の知り合い、多いかもね。」

急に幸一郎と航平が、揃って翔子の方へ身を乗り出す。

決して外部生は入れない、内部生のみの一体感。それはOBであろうとOGであろうと変わらない。

いつの日も「われらぞみんな よい子になろう 気をそろえ 慶應生」だ。

さっきまで花凛は楽しそうに幸一郎と話していたはずなのに、急に黙りこくっている。一方で翔子は幸一郎に、一気に切り込んでいる。

「兄は現在33歳なので...皆様より、少し年下かと思いますが、兄に聞いたらお二人のこと絶対知っていますねぇ~♡」

たしか翔子も私学の女子校出身で、“お嬢様アナウンサー”としてよく取り上げられており、自分のアピールポイントがよく分かっているのかもしれない。

「お兄さん、部活は何してた?中学はどっちに行ったのかな?」

翔子と航平が盛り上がっている。しかし幸一郎の花凛に対する質問で、場の空気はガラリと変わった。

「花凛ちゃんはどこ出身?」

「私...小学校は、海外なんです。 」


さっきまで意気揚々と話していた翔子が、今度は黙りこくる。

「花凛ちゃん、帰国子女なんだ!」

「実はそうなんです…。でも全然っ、大したことないんですよ~~!」

しかしここでも、翔子は笑顔で褒めること忘れてはいない。

「花凛先輩、この前うっかり漢字を読み間違えたのは、そういう理由だったんですね。可愛いなぁ〜♡」

「翔子ちゃんたら、やだっ~~!!恥ずかしいっ……。でもたしかに、英語のほうが得意なのぉ。」

このやり取りを、私は静観していた。

翔子は、今花凛が担当している朝の番組のメインMCを狙っているらしい。

心の中では、一刻も早く花凛がフリーになって局を去るか、スキャンダルか何かで失脚することを望んでいるのだろう。

しかし笑顔でのやり取りを見ていると、本気でそう思っているのか分からぬまま、食事会は進んだ。



帰り際、方向が一緒の私と航平さんは2人でタクシーに乗ることに成功した。嬉しがっている私の隣で、航平さんがポツリと呟く。

「翔子ちゃんって、花凛にちょっと似ているよね。可愛いなぁ…」

「……可愛いですよね。ウチの局の次期エースって期待されてるんですよ。」

「そうなんだ。じゃあ食事とか誘ったらまずいかなぁ…。」

その言葉に、私は少しおどけながら聞いてみた。

「う~ん。そうですね、ちょっと危険かも??……航平さん、それだったら私と一緒に行きません?」

すると航平さんは少し驚きながらも、普段の穏やかな口調でこう言った。

「それは是非行きたいけど、俺、ちゃらんぽらんだからなぁ…。レミちゃんはもっとしっかりした奴のほうが、合いそうだよね。」

遠回しに断られて、私の胸はズキっと痛んだ。

あの2人にはやっぱり、永遠に勝てそうにない。

―でも仕事では、私にしかない良さを分かってくれる人がたくさんいるし……。

しかしこのとき私は恋愛だけでなく、まさか仕事まで“カマトトちゃん”たちから奪われる日が来るとは、思ってもみなかったのである。


▶NEXT:11月30日木曜更新予定
翔子の人気に焦るレミ。カマトト女にはやはり勝てないのか!?



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