銀座おとな塾 Vol.3

銀座デートはスムーズに2軒目へ!自然に距離が縮まる必勝BARはここだ!

仕事を通じて知り合った由美は、月に数回のペースで会う相手だ。飾らない性格で、まだ恋人ではないが一緒にいると心が休まる。今まで派手に遊んできた自分も、そろそろ由美のような女性と落ち着きたいものだと、会う度に思う。

その由美が、「結婚を考えていた彼と別れることになった」と泣きながら電話をかけてきたのは、昨夜遅くのことだった。慰めつつも「彼女を振り向かせるなら、今しかない」と火が点いた。

次の日は早めに仕事を切り上げて、銀座1丁目へ向かう。1軒目は、『銀座KAN』。渋谷の『高太郎』も輩出した池尻『KAN』の系列店だ。気取らない雰囲気で、夜遅くまでゆっくり話ができる、和食の店を探していた。

カウンター席からは、料理人の丁寧な仕事を目の前で楽しめる。

『銀座KAN』に女性と一緒に行くならば、カウンターが必須である。大きく広がった橡の木のカウンター席に、いつもより華奢に思える彼女を見つけた。

この店の突き出しは、好きな素材を選べ、食べ方もリクエスト出来る。「何にする?」とのぞき込むと、新鮮で美しい食材を前に、泣き腫らした彼女の顔に、少し笑顔が戻った。

お通しから始まる特別感は、一気に気持ちが盛り上がる。

彼女が選んだ大アサリは、醤油でさっと焼きが入れられただけで、ジューシーさが残る。醤油の香ばしい香りと、冷えたビールがたまらない。

一口で食べれば、口いっぱいになるほど大ぶりのアサリ。

落ち込んで口数が少ない彼女は、いつもよりお酒のペースが早いようだ。各地の日本酒が多く取り揃えられているので、料理を少なめに頼んでお酒選びに徹するのも、この店の楽しみ方の一つだろう。

毎朝築地から仕入れられる、新鮮な魚介が魅力的だ。

今一番おいしい時期の刺身など、メニューはその時々の旬が味わえる。

追加の日本酒と合わせて頼んだのは、「和風ポテトサラダ」。パンチェッタと粒マスタードのパンチのあるソースが絡み、お酒がすすむ。他にはないこの店のポテトサラダに、彼女も満足そうな笑顔を見せた。

甘みの強いインカの目覚め、男爵など数種類のじゃが芋が使われている。

小粋なつまみに、いつもよりも飲むペースが上がってしまう。1軒目は普段通り、あくまでも彼女の心を癒せるように、ぽつりぽつりと語る話を聞いていた。

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