女ともだち Vol.1

女ともだち:近況報告すらままならぬ。30代女の会話は“地雷”と“禁句”だらけ

女はいつしか、3つのカテゴリーに分類されてゆく。

「独身」か「妻」か、はたまた「ママ」か。

結婚・出産でライフスタイルが急変する女の人生。恋愛から結婚、そして子育て。それぞれのカテゴリーで、興味の対象も話題もがらりと変わってしまう。

違うカテゴリーとなった女ともだちとは、もはや疎遠になっていくしかないのだろうか?


まだ「地雷」も「禁句」もなかった、あの頃


懐かしい笑い声が聞こえた気がして、原口沙耶(はらぐち・さや)は店の奥に目をやった。

昨夜は撮影の立会いがあって遅かったから、今日は午前休をとっている。

出社前に立ち寄ったけやき坂の『ローダーデール』奥のテーブル席で、大学生であろう3人の女の子たちが、何やら楽しくて仕方ないという風に笑い合っているのが見えた。

会話の中心は、沙耶から見て右奥に座る、ボブヘアが可愛らしい女の子。

彼女が身振り手振り大げさに話す言葉に、隣に座る巻き髪の女の子が笑いながら突っ込み、ふたりの正面に座るショートヘアの女性は、そんな2人をにこやかに見守っている様子である。

デジャブのようだ、と沙耶は思った。

ーそう、私たちにもこんな時代があった。

“私たち”というのは、大学時代からの仲良し3人組、沙耶とあゆみ、そして理香のことである。

少し鼻にかかった高い声で話すボブヘアの彼女は、昔のあゆみにそっくりだ。抑揚の感じや間の取り方まで本当によく似ていて、タイムスリップしたような錯覚に襲われる。

まだ全員が同じラインに立ち、ひたすら恋に悩んでいたあの頃。

「地雷」も「禁句」も存在しなかった時代。

視線の先で彼女らがまた大きな笑い声をあげて、懐かしい残像が現実にすり代わる。

弾ける笑顔が放つ光はあまりに眩しくて、沙耶の心に一筋の影を落とすのだった。

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