忘れられない香り

「最後のキスは タバコのフレーバーがした ニガくて切ない香り」

宇多田ヒカルも、かの名曲「First Love」でそう語り始める。

嗅覚の記憶というのは、触れたことよりも鮮明に脳が覚えている。街で、かつて好きだった人の香りが鼻をかすめ、後ろを振り返ったことが、誰しも一度はあるだろう。

そんな“忘れられない”思い出を、呼び覚ますのはどんな香りだろうか。夏の波打ち際の潮風の匂い、秋の樹々から香る金木犀?

彼女たちには「言葉に出来ない」香りにまつわる切ない話があった。

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