結婚願望のない男 番外編:見た目プーさん、実は肉食系?一途な昭和男・きんちゃんの秘密

僕は所詮、普通の男。「結婚」という責任を負うことで、得られるメリット


男にとっての独身生活は、もちろん素晴らしいものです。

やりがいある仕事に没頭するのは面白いし、責任とは無縁の自由な生活を手放したくない気持ちは、誰にだってある。

でも、所詮普通の男は、何だかんだある程度の年齢になってくると、そうやって自分のことばかり考えるのに、疲れ始めるんですよ。

結局、自由や自己中心的な自分を貫くのも、意外に結構な責任や労力を負うものです。結婚と同じように。

だったら僕は、同じぶんのエネルギーを、好きな人や家族に注ぐ方が、男として幸せなんじゃないかって思うんです。

正しいとか間違ってるではなく、考え方として。


「ねぇ、でもきんちゃん。英里が元彼に未練があるからって、さらに燃えてるなんてこと、ないわよね?」

友達想いの咲子ちゃんは、ときどき鋭い質問を投げてくる。

彼女の言う通り、正直、元彼を忘れられない英里ちゃんを見ていると、嫉妬というより、沸々と闘争心が湧いてくるような感覚があります。

“肉食系”というのは、あながち間違っていないのかも知れませんね。

先日、銀座で英里ちゃんの元彼に遭遇してしまったとき、必死で見て見ぬふりはしましたが、あのスマートそうな彼には負けたくないという気持ちが、明らかに強くなりました。

ほら......、僕って大した男じゃないでしょう。

結局僕は、利己的な自分や、男としての情けなさを補うために、「結婚」という責任を敢えて負ってしまいたいんじゃないでしょうか。

そうすれば、「きんちゃんは、どうしてそんなに優しいの?」と、僕を見つめる英里ちゃんの純朴な視線も、胸を張って受け止められるような気がする。

もちろん、葛藤もありますよ。

あれだけ元彼が好きな英里ちゃんは、僕なんかと結婚して、本当に幸せになれるのか?

彼女の失恋の傷に手を差し伸べて、理解のある男を演じているけれど、結局それも自分のためなんじゃないのか?本当の意味で、男らしい行動と言えるのか?

色々と深く考えすぎると、良心がチクチクと痛み、身動きがとれなくなりそうになる。でも1つだけ、確かなことがあります。

こんな僕だからこそ、存分に愛情を注ぎたいと思える女性、英里ちゃんが必要だということです。

この気持ちだけは、きっとあの彼には負けていないはず。

彼女がこのまま僕を選んでくれるなら、何もかも受け止めて、一生幸せにすると決めています。


▶NEXT:6月3日 土曜更新予定
最終回目前。吾郎が、自身の結婚観を辛辣に語る。

この記事へのコメント

Pencilコメントする

コメントはまだありません。

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo