無難戦隊MARCHマン Vol.2

無難戦隊MARCHマン: 通信簿はオール4。 “無難”を極めた、明治大学卒の男

上司の愚痴は、最高の酒の肴


ミーティングが終わり、歓迎会というムードではなかったので、いつも通り会社近くの居酒屋、『酒喰洲』にMARCHマンだけで集まることにした。


普段はこの店からスタートして、二次会、三次会あたりで5人全員がそろう。

福田蒼汰と青学卒の上田瑛士は仕事が早いので、2人で飲み始めることが多い。ビールで乾杯し、新鮮な刺身を口に運ぶ。話題はもちろん、新しく来た上司・東出についてだ。

「ま、あんなもんなんじゃないの。東大卒のインテリさんは。」

皮肉たっぷりに瑛士は言った。サラリーマンにとって、上司からの評価で仕事のしやすさは大いに変わる。できればうまくやりたいが、うまくやりたい奴かどうかはまた別モノだ。

結局、その日は居酒屋を3軒ハシゴして、最後はカラオケまで行った。皆、嫌味な上司に変わって少なからずのストレスを抱えているのだろう。

―こうして飲まなきゃ、やってられん。

深夜3時。福田蒼汰はがんがんする頭を抱えながら、タクシーで下高井戸の家まで向かった。

東出の分析:「使い勝手のいい福田蒼汰は、“無難”を極めた男」


「部長、ペットボトル捨てましょうか?」

水を飲み終わったと同時くらいに、福田蒼汰が声をかけてきた。初日は慣れないことも多々あるが、こういう奴がいるのは、ありがたい。何かにつけて世話を焼いてくれる。

福田蒼汰はいい男だが、全て平均値くらいの“無難”の極みのような男だ。確かに優秀かもしれないが、プラスアルファがないと、一段上には上がれない。

まぁ、「無難戦隊MARCHマン」にそこまで高いレベルを求めるつもりもない。やつらは一生、“雇われの身のサラリーマン”で終わるはずだ。上の世界を知る術もない。

初めてのミーティングで、これまでの仕事のやり方を一気に変えるように説明した。予想通り、「無難戦隊MARCHマン」から大きな反発はなかった。

しかし、翌日、MARCHマンたちの顔は明らかにむくんでた。きっと俺の愚痴をつまみに、深夜まで飲んでいたのだろう。

商社時代から、サラリーマンたちの行動には数多くの不思議がある。

彼らは会社の愚痴をつまみに、何時間でも酒を飲む“飲みニケーション”が大好きだ。

労働の対価として得た金を、労働によって蓄積されたストレス発散に使う。彼らは、何て無駄なことをしているのだろう。

しかし、それが彼らの「ルーティーン」なのだ。

その手のサラリーマンが、東出は死ぬほど嫌いだった。

―ヤツらの根性を根本から叩き直さなければ…。

次週2月7日火曜更新
東出の改革は進む。一番手ごわいのは、どこの大学の男か!?

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