2016.12.22
料理と時計、一見異なる両者だが、俯瞰すればどこかが似ている。互いの魅力から見える意外な共通点をご紹介。
今回は、老舗時計メーカーが提案し続ける不変の名作時計と70年もの歴史を持つ老舗イタリアンのボンゴレを比較した。
“若い時にこそ選んで欲しい”と、オススメしたくなったその共通点とは?
時代が一周回って追いついてきた、変わらぬ佇まい
今、イタリアンに再流行の兆し。バブル期の〝イタめし〞ブームを経て定番化。多様性を見せるなかでの再注目だろう。その栄枯盛衰を横目に、70年近く日本でイタリア料理店を続ける老舗がある。
『アントニオ南青山本店』だ。第二次大戦中イタリア海軍最高司令官付きコック長だったイタリア人、アントニオ・カンチェミさんが、神戸に店を出したのは1945年。戦後日本史に重なる浮き沈みのなか、本格イタリア料理を提供し続ける。
現在店を仕切る2代目ジャーコモさんは「4世代で来店する人も多く、それが何よりもうれしい。我々には、〝おいしい〞より〝変わらない〞のほうが褒め言葉」と語る。変わらぬ味に安心できるから、世代を超えて来店できる。
それを体現する時計が、クラシカルな小径タイプ。〝デカ厚〞ブームが落ち着き、小ぶりな時計が再評価。とりわけ老舗が時代に翻弄されずに作る定番は、その崩さぬ姿勢に信頼も厚い。
代表格は、パテック フィリップの名作「カラトラバ」。なかでも人気作Ref.5196は、バウハウスの精神を宿したRef.96の表情と末尾2桁の品番を継承。37ミリというドレスウォッチ普遍のサイズが今、新鮮だ。
そして変わってないようで進化を続ける点も同じ。時流変われど、いいものを作り続ける偉大さも変わらない。
時流に流されぬ“変わらぬ味”を追求『アントニオ南青山本店』
神戸で料理人を始めた先代が上京し、六本木に自店をオープン。1985年に現在の南青山に移転。「繁華街でないからこそ、料理一本で勝負できる」のがその理由だ。ひとつひとつ殻を剥いて仕込むスパゲッティボンゴレ(¥1,800)など、自慢の本格イタリアンは、変わらぬ味を追求した結果、今なお多くの客に愛されている。
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