ミューゼオ・スクエア Vol.2

嗜好品としての「愛でる靴」を際立たせる、靴を染める「カラリスト」という仕事

あっという間に青く染められた革。右は最初の状態。吸い込まれるような美しさは陰影があるからこそ。革の染めで陰影を大切にする人が多いのも納得がいく

「嗜好品」として愛でるための靴


靴は「実用品」ではなく「嗜好品」であると、藤澤さんは語る。「外に出る時に履くもの」だけでなく、「愛でるもの」。

そんな靴に対するこだわりをもち、それに共感し、理解している顧客に対して、できうる限りの答えを見せ続けている。そして、現在、染めだけでなく、自身のシューズブランド「floriwonne」を手掛けている。

日本でも数少ない「カラリスト」の仕事。彼はそれを生業とするまで、日本でのカラリストの道を切り開きながら、自身のキャリアも積んできた。

職人気質ながら、企画プロデューサー的な視点も併せもつ、不思議な魅力のある人柄だ。しかし、そんな気負いは見せず、シンプルに自分の理想をさらりと追いかけている姿に感銘を受けた。

「染め替えは、靴や革製品をカスタムすること。新品に戻るというわけではないけれど、新たな気分で靴に向き合える良さがあります。自分だけの一足を持てるという優越感や、自分が思っていた通りのものが手に入ったという満足感が醍醐味です」。

ワールドフットウェアギャラリー神宮前店 2Fマエストロサロン内
営業時間:11:00-20:00
定休日:無休(年末年始除く)
※完全常駐ではないので、依頼の際は事前予約が必要
住所: 東京都渋谷区神宮前2-17-6 神宮前ビル2F
TEL: 03-3423-2021
http://www.wfg-net.com/jingumae.html

取材ライターが感じたひと言


記事でもふれていますが、染料で染められた藤澤さんの手がとても素敵でした。見入ってしまいましたが、あまり見るとよくないと思いつつ、取材中はこっそりガン見。

そして、ご自身で調合した染料を革に刷り込む姿を見て、「実用品ではなく、嗜好品としての靴」の表現に納得。私も一生モノの靴を見つけて、藤澤さんに染めてもらおうとひそかに決意したのでした。

取材日: 2015年5月6日
取材・文/東 麻吏
写真/井本貴明


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