東京人生ゲーム Vol.10

東京人生ゲーム:サエコ「あれから7年。男子三日会わざれば刮目して見よと言うけれど・・・」

慶應大学卒業後とある総合商社に勤めた拓哉のその後を追った「東京人生ゲーム」。今日18時に最終話が公開される。

44歳になった拓哉は一体どこで何をしているのだろうか?最終話を前に、拓哉の人生に関わった男女が登場。彼女たちは拓哉という男を、そして東京という街をどう見ていたのだろうか?

サエコです。私が逃した魚は、大きかったのでしょうか・・・?


拓哉くん。ご無沙汰しています。あなたが32歳のときに付き合っていたサエコです。

京都烏丸の貿易会社の御曹司と結婚した私のこと、マテリアルガール呼ばわりしてたみたいですね。

否定はしないけれど、物語は、常に語り部の一方的な目線で紡がれます。私と拓哉くんの3年間の物語。私から見た拓哉くんの姿をお伝えしておきます。


私が拓哉くんに出会ったのは、28歳のときでした。

当時、商社の男の子の優位性が分からなかった私にとって、拓哉くんは本当にギリギリの及第点。私が過去お付き合いした、東大ロースクール卒の弁護士に、アイビーリーグMBAホルダーの外資系コンサル、眼科の開業医などと比べるのもかわいそうになっちゃうほど戦闘力の低かった拓哉くん。そんなヒエラルキーも知らず自分がピラミッドのてっぺんにいると勘違いしていた井の中の蛙でしたね。

確かに経済力は心もとなかったけど、当時、とある起業家との交際に終止符を打った直後の傷心期。猪突猛進なあなたのストレートな気持ちにすっと絆されたんですよね。


「5MINUTES」に転職してCOOになれたのは、非常に喜ばしいことでしたね。箸にも棒にもかからないと思っていた拓哉くんが、実は打ち出の小槌で、キャピタルゲインで膨大な資産をもたらしてくれるかもしれない、と思った時のウハウハ感(笑)心の中でガッツポーズですよ。

でも、蓋を開けてみれば、出世競争でタカハシくんに負けての消極的選択。

「5MINUTES」を選んだのも、ドベンチャーに移れるほど腹は括れていないけど、それなりの芽が出てきそうな三分咲きくらいのベンチャーであれば、リスクもそこそこに、旨味を享受できる、って打算的でしたね。沈みかけの船にも、トタン板の船にも乗る気はさらさらないけど、ここなら丁度いい塩梅だって言っていた拓哉くん。正直幻滅しました。

あなたも知っているように、私は、功利主義で打算的なマテリアルガール。でも、だからこそ男性には、自力で人生を切り開く心のエンジンを搭載している生命力のある人を求めてしまいます。

ベンチャー企業という看板が通じない会社に入ったあなたは、しばらくの間、総合商社の肩書きを引きずっていましたね。飛び込み営業の先々で、無名の会社の若造にバカにされて、「商社に入れない男が」ってクダをまいている姿に何度げんなりしたことか。

数年前「5MINUTES」が上場間際でにわかに脚光を浴びたとき、拓哉くんのインタビュー記事もいくつか出ていましたが、どの記事にもご丁寧に「総合商社を捨ててベンチャーで奮闘するCOO」の枕詞。誰が、総合商社を捨てたのでしょう?誰よりもその看板、使っているじゃないですか。

とりあえず3年もの間、どうにかこうにか可能性を漁っていましたが、「5MINUTES」の知名度が上がり、ぽつりぽつりと女の子たちからLINEが舞い込んで浮かれたあなたの伸びた鼻の下を見て、さすがに見切りをつけました。しばらくして、ストックオプションを受け取れず会社を辞めたと聞いた時は、あぁ、やっぱり私の目に狂いはなかったと、少しの落胆と一抹の寂しさと共に思いました。


そんな拓哉くんが、会社設立・・・?

何かの看板が無いと生きられないと思っていた拓哉くんが「CRAFT JAPAN」って・・・本気ですか?

拓哉くん。あなた、他力本願じゃなく、自分の人生自分で漕げるタイプでしたっけ?

別れてから、7年。

男子三日会わざれば刮目して見よと言うけれど・・・

もしかして、逃した魚は、大きかったのでしょうか?


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