美味しい途中下車の旅!世田谷グルメを満喫する小田急線沿いの極上レストラン13選

夫妻肺片(牛ハチノス・牛スネ肉の麻辣ソース)¥980

単なる刺激ではない、四川料理に対する愛情と敬意
『蜀彩』

経堂

何事にも通ずることだが、刺激も過ぎると、だんだんと飽食気味になるものである。ただ、世の中には、クセになる刺激というものも確実に存在する。

料理人としてのスタートは決して早かったとは言えないが、その“種”が心のなかに芽生えたのは、わりに早期であった。子供の頃、親に連れられて行った四川料理店で、はじめて雲白肉に出合ったときの感動を今でも忘れることはないという。

四川名菜 鴨の紅茶漬け燻製香り揚げ。皮目はパリッと香ばしく、身はしっとりとジューシー。メニューは一例

「昔からおつかいで買いものに行くことが多かったから、どんな食材を使っているかというのがなんとなくわかったんです。どこでも手に入るような普通の豚肉を、こんな美味しい料理にできるのかと。子供心にすごく感激したのを覚えています」

村岡拓哉氏が世田谷区・経堂に自身の店『蜀彩』を構えたのは2011年10月のこと。胸のなかで大切に育ててきた“種”がこうして花開くまでには、様々な紆余曲折があったという。一生をかけて情熱を注げる仕事を考えたときに中華の料理人という答えに行き着いた。

成都式汁無し坦々麺¥1,000。本場四川に伝わる味を独自にアレンジ。奥の深い味わいで後を引く旨さ

遅咲きを承知で25歳からのスタートを決意できたのは、やはり一生をかける覚悟あってのことだ。30を目前にして原宿『龍の子』に入店、その後、本場の空気を肌で感じるために四川省へと渡った。

帰国後は再び『龍の子』へ戻り、新宿の『川香苑』などを経て、独立へと相成った。村岡氏の原動力は、単なる“刺激”ではなく、四川料理に対する愛情と敬意。料理はときとして、作り手以上に雄弁だ。

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