2015.07.13
いまや、世界中で関心を集める和食。そのエッセンスは、料理、お酒、お皿、そして精神にも表れる。多様化する和食の新たなプレゼンテーションに迫る。
1995年、『暗闇坂 宮下』で飲食業界に一石を投じ、その後はプロデューサーとして、多くの店舗に携わってきた宮下大輔氏。一時代を築き上げた宮下氏が「原点回帰の場所。和の事を見直す場所」と語るのが、5月にオープンした『可不可(カフカ)』だ。
「色んな場を手掛けてきた結果、今一度地に足を付けて、和食と向き合おうと思ったんです。世界で和食への関心が高まっている一方、日本には和食の受け皿となる場所が少なく感じます。海外の方がしっかりと和食に触れ合える場所にしていきたい」。
場所は麻布十番。オーストリア大使館の裏手にあり、森を背にしたエントランスには都心らしからぬ静寂を感じる。
カウンター越しにはYシャツにエプロン姿のスタッフが並び、凛としつつも、落ち着いた雰囲気がある。お客様と一緒に空間を作っていけるような距離感を目指したそうだ。日本酒や国産ワイン、国内の作家による食器類など、日本の要素が存分に詰まっていながらも、それを感じさせない緩和がある。
さらに、メルボルンで修業を積んだ伊藤シェフの料理は、あくまで和食がベースとしながらも、洋の技法も取り入れる。「この時代、料理のジャンルをカテゴライズする必要はないのでは?」というのが宮下氏の結論。
「日本には可と不可の間、0と1の間のような捉えきれないものを大切にする傾向がある。この店ではそういったものを追求していこうと思っています」。
お店としての営業はもちろん、週末には料理教室や蔵元を招いての食事会などを開催している。
「この時代、コミュニケーションのプライオリティが非常に高いと感じています。リアルなコミュニケーションを求めている人が多いのでしょうね」
おまかせで、しっかり食事をしても、どこかで食事をした帰りに一杯だけ、という使い方もあり。週末の会で仲間を作るのもあり。色んな役割があり、それをお客の側がセレクトできる。そんな多様なスタイルが、いままさに重宝されているとのだろう。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
この記事で紹介したお店
可不可 KAFUKA TOKYO
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