転職で「年収500万円増」を勝ち取る人の意外な共通点 ──管理部門ハイクラス人材の「交渉術」と市場価値の正体
「転職で年収を上げる」──。 もはやビジネスパーソンの常識となりつつあるキャリア戦略だが、その上げ幅には明確な格差が存在する。
数万円単位の微増で終わる者もいれば、一度の転職で数百万円単位のジャンプアップを果たす者もいる。
その分水嶺はどこにあるのか。
株式会社WARCと株式会社ハウクレイジーが共同で実施した、年収800万円以上のハイクラス転職経験者(管理部門)を対象とした調査結果から、驚くべき実態が浮かび上がった。
そこには、私たちがイメージする「年収交渉」とは異なる、意外な事実が隠されていた。
2人に1人が100万円アップ
まず、調査結果が示す数字のインパクトを確認しておきたい。 管理部門のハイクラス転職経験者のうち、実に51.1%が「100万円以上」の年収アップを実現している。
さらに詳細を見ると、26.3%が「101〜200万円アップ」、そして約10%が「301万円以上」の大幅な年収増を達成しているのだ。
日本企業の賃上げ率が依然として低空飛行を続ける中、この数字は異質だ。
管理部門という、かつては「コストセンター」と見なされがちだった職種において、これだけの流動性と市場価値の高騰が起きている事実は、企業の経営課題が「守り」の強化、すなわちガバナンスや財務戦略の高度化にシフトしていることを如実に物語っている。
「交渉しない」が最強の交渉?
本調査で最も興味深いのは、年収アップ額に応じた「有効な交渉手段」の違いだ。
200〜300万円アップ層では「実績の数値化(31.6%)」が、300〜500万円アップ層では「希望額の明示(30.0%)」が最も効果的だったという結果が出ている。これは理解しやすい。自身の実績を定量的に示し、強気な希望額をぶつける。我々がイメージする典型的な「交渉」の姿だ。
しかし、年収が500万円以上アップした層では、景色が一変する。 彼らの4割が「特別な交渉をしていない」と回答しているのだ。これは何を意味するか。
突き抜けた市場価値を持つ「スーパーハイクラス層」に対しては、企業側が最初から上限ギリギリ、あるいは相場を大きく上回るオファーを提示しているということだ。
彼らにとって、年収は「交渉して勝ち取るもの」ではなく、「提示されて当然の対価」なのだ。 逆に言えば、必死に交渉テクニックを駆使しなければならない時点で、まだ本当の意味での「市場価値」は確立されていないのかもしれない。
「基本給」にこだわらない戦略眼
もう一つ、示唆に富むデータがある。
100〜200万円アップ層と300〜500万円アップ層が、交渉時に最も重視した要素として「福利厚生」を挙げている点だ。
「基本給」を最重視したのは、200〜300万円アップ層のみである。
これは、ハイクラス人材ほど、目先の月給よりも「実質的な可処分所得」や「働きやすさ」を含めたトータルリターンを冷静に計算していることの証左だろう。
ストックオプションの有無、家賃補助、リモートワーク環境など、福利厚生という名の「隠れ資産」をいかに積み上げるか。その戦略眼の有無が、最終的な生涯賃金の差となって表れる。
「戦略なき情熱」では年収は上がらない
年収アップの成功者が「市場データの明示」や「実績の数値化」、あるいは「エージェントへの委任」を使い分けている点は示唆に富む。
300万円、500万円という大幅な年収増は、個人の頑張りだけで実現できるものではない。そこには必ず、相場を正確に把握する「情報力」と、それを適切なタイミングで提示する「戦略」が存在する。
「交渉しない」という選択肢も含め、彼らは自分の戦い方を熟知しているのだ。 転職を単なる職場変更ではなく、キャリアの資産価値を最大化するプロジェクトと捉えられるか。
その戦略的なマインドセットの有無が、最終的なオファー金額の差となって表れていると言えるだろう。
【調査概要】
調査概要:転職時の交渉条件に関する調査
調査方法:インターネット調査
調査時期:2025年9月
調査対象者:全国20〜40代の年収800万以上の管理部門のハイクラス転職経験者
調査人数:137人
【参考資料】
2人に1人が100万円以上アップ!管理部門のハイクラス転職成功者の年収交渉のリアル








この記事へのコメント
福利厚生のありがたさは地味だけどじわじわくるよね。
そもそも、転職しないと大幅に年収が上がらないという仕組みをどうにかしてほしいという思いあるけど。
転職先も決めずに前の会社を辞めたから心配してたけど、できる人はちゃんと収まるとこに収まるな。