Q2:女が三度目のデートで一気に引いた理由は?
そして二度目のデートも非常に楽しく終え、三度目のデートがやってきた。
― 今日で三度目か…。
何となく、身構える。たった三度で決める気もないし、焦るつもりもない。一度結婚しているし、子どももいる。だから早急に「付き合う」とかは自分の中でなかった。
だから凛も良い子だけれど、「絶対に付き合う!」など、そんな気持ちはさらさらない。
そんな気持ちで、三度目のデートへと挑んだわけだが、この日僕は時間があったので、夕方サウナに入ってから、デートへ行くことにした。
何となく、サウナでスッキリしてから行きたい気分だったからだ。
なのでサウナで汗を流し、シャワーを浴びた後、予約した六本木にある最高級のフカヒレが堪能できる中華の店へと向かった。
ただこの日は猛暑で、すべてタクシー移動だったのに、サウナへ行ったせいか店内に入っても暑い。
冷たいおしぼりをもらって顔と首を拭いていると、凛がやってきた。
「遅くなっちゃってすみません」
「全然。今来たことろだから」
「今日、暑いですよね」
「そうなんだよ。もちろんシャワーは浴びてきたんだけど、サウナ行ってきたから汗臭かったらごめんね」
「大丈夫ですよ」
こうして、三度目の食事が始まった。しかし辛い物を食べると、また汗が出てくる。
「健介さんって代謝良いんですね」
「そうなんだよ。運動もよくしているから、汗かきやすくて」
「シュッとされているのに意外です。何の運動をされているんですか?」
「僕はジムを週に2、3回と。あとサウナかな。昨日も、ジムでこれくらい走ってきて」
そう言いながら、僕は昨日走った記録が載っているスマホの画面を凛に見せる。
「こんなに走ったんですか?すごい…」
「いやいや、そんなことないけど。凛ちゃんは?運動とかするの?」
「私はヨガ行くくらいですね。たま〜にゴルフとか」
「ゴルフね。でも今は、暑いでしょ?」
「はい。なので夏はやりません」
ここから何となく、凛の普段の生活が見えてきた。最初はよく港区にいる、チャラっとした女の子かと思っていたけれど、意外に真面目なのかもしれない。
「最近リモートがだいぶ減ってしまって…週5で出勤することもあります」
凛は、大手日系企業に勤めており、いい意味で“普通の”生活を送っている子だった。
「凛ちゃんって、もっと派手なのかと思ったけど…意外だね。でもモテるでしょ?」
「どうでしょうね〜。でも早く結婚したいので、彼氏も絶賛募集中ですけど。本当に、健介さんって彼女いなんですか?」
「うん、前にも言ったけどいないよ」
「そっか。健介さんのほうこそモテそうですけどね」
「そんな事ないよ」
ここからしばらくお互いの謎の謙遜タイムが始まる。落とし所で迷っていると、ちょうど良いタイミングでデザートが運ばれてきたのでお会計をテーブルで済ます。
「いつもありがとうございます。ご馳走さまです」
「いえいえ」
そんなやり取りを終えて店を出ると、日中の太陽の熱気を吸い取った、コンクリートの蒸し暑さにむわんと身体が包まれた。
「あっつ…凛ちゃん、タクシーだよね?」
「はい、タクシーで帰ります」
「じゃあ呼ぶからちょっと待っててね」
こうして凛と僕の各々のタクシーを手配し、帰路へ着いた。
結局その後、凛の態度は激変した。デートの手順も間違えていないし、店選びもタクシーでの送りも最大限に気を使ったつもりだ。
それなのに、何がダメだったのだろうか…?
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28歳の女が急に態度を変えた本当の理由は…?
この記事へのコメント
会計時、「いつもありがとうございます。ご馳走さまです」ってすごい慣れてるなと。
と言うか、本当に好きとか付き合いたい相手で内面的な魅力も感じていたなら、多少の匂いも我慢出来るしおいおい様々な対策も出来ますよね? 最近は男性でも脇の脱毛とか、デオドラントも色々有る。デートの前サウナ控えるとかハンカチ持ち歩くとか些細な事で変わるとも思う。