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だれもゆるしてくれない Vol.5

「異性の友達なんて、ありえない」彼氏の女友達に嫉妬する、女子校育ち27歳女の本音

3年前。24歳の私の身に起きたのは、世間一般で言えばごくありふれた出来事だった。

当時付き合っていた彼氏に、浮気されただけ。

そしてその浮気相手は、彼が言うところの“ただの女友達”だった。

「あいつのことは、女として見たことないから」

「あいつも普通に彼氏いるし、マジで何もないって」

私がどれだけ嫉妬しても、何度もそんなふうになだめすかされて──結局やることやっていたことが発覚した時には、思わず笑ってしまったっけ。

バレた時に彼に言われたことは、たしかこんな感じ。

「ごめん…。彼氏と喧嘩したっていう悩み相談に乗ってて…。彼氏より俺を選んでおけばよかったって泣かれたら、ほっとけなくてつい…」

すごく傷ついた。彼のことが大好きだったから、たくさん泣いた。

だけど、胸が張り裂けそうな悲しみを表す言葉よりも、真っ先に私の頭に浮かんできたのは…。

― ほらね、やっぱり。

そんな、自分でも意外なほど冷め切った言葉だったのだ。


男女の間に、友情なんて成立するわけがない───それが、私の持論だ。

もちろん、幼稚園から雙葉で育ち、女性だらけの化粧品会社に就職したという私の環境が、世間的には特殊なほうだという自覚はしている。

だけど、友情から発展する恋愛なんてごまんとある。学生時代なら、むしろ友達が恋人になるルートこそが恋愛の王道だ。

「いい大人なんだから、学生とは違う。大人同士節度を保って理性的な付き合いができる」

そんな意見を耳にすることもあるけれど、とても説得力があるようには思えない。

だって、理性を手に入れた大人は、他にもいろんなものを手に入れているから。

背徳感。

上手な嘘。

割り切った関係。

酔いに身を任せること。

自分自身の本当の気持ちに蓋をすること──。

実際に、私の目の前で男の子たちは、いつもそんな風だった。

「ずっと好きだった。もう友達のふりは続けられない」

そう言われた経験は、1度や2度じゃない。塾の男の子も、上智の同級生も、サークルの先輩も、ただの友達ではいてくれなかった。

少し悩み相談でもしようものなら、彼氏と別れたと報告しようものなら、すぐに安全なふりをやめて目の色を変えてしまう。

そんな現象がありふれているこの世の中で、どうして男女の友情は成立する…なんて言えるんだろう。


だから今夜、9年付き合っているという莉乃さんの彼氏さん──秀治さんが同席していることは、私にとっては何の意味もなかった。

彼氏がいようが彼女がいようが、心が動く時は動いてしまう。あやまちが起きるときには起きてしまう。

それよりも正輝くんが莉乃さんと会うのをやめられない以上、本当に知りたいのは、莉乃さん自身がどういう人なのかだ。

はっきり言って、莉乃さんはすごく素敵な女性だと思う。自分の気持ちに正直に、誠実に向き合っている人のように見える。

莉乃さんが正輝くんのことを親友としか思っていないというのは、きっと、多分、本当のことなのだろう。

だけど。

さっぱりとした莉乃さんの態度を前に、ほんの少しずつ冷静さを取り戻し始めた私の心は──この後、またすぐに乱されることになるのだった。

この記事へのコメント

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アホの正輝、無意識とはいえ莉乃のプレートから生マッシュルーム取り除いてあげるとか何なん? 萌香だけでなく秀治さんも不快に感じたと思うわ。
2025/08/18 05:3231Comment Icon5
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先週読んだ莉乃の言い分と比較したら、歳下の萌香の方がよっぽど大人だと思う。
2025/08/18 05:1428Comment Icon6
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一般的には彼女(又は妻) を最優先に考えますよね。正輝・莉乃も萌香に配慮する様子はなさそうだし無神経で鈍感なので、萌香の方から莉乃と会うのは控えてほしいと伝えていいと思います。全部言葉にしないとこの二人は分からないのでしょう。まだ付き合い始めたばかりなら二人だけでデートしたいでしょうし4人の会も暫く無しで、莉乃に用がある時は電話で済ませばいいだけ。男女の関係に発展しなそうでも莉乃みたいな親友が彼の周りをうろちょろしてたら目障りですよ、ねぇ。
2025/08/18 06:2422Comment Icon1
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だれもゆるしてくれない


尊敬。愛情。そして、下心。

男と女の間には、様々な関係性が存在する。

なかでも特に賛否を呼ぶのは、男女の間の”友情”は成立するかどうか。

その関係は、果たして「ゆるされる」ものなのか──?

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