A2:明らかな下心がミエミエで嫌だった。
初デートは楽しかったし、私の中でアリかな?とは思っていた。
しかしこの二度目のデートで、“拓実とはもう会いたくない”レベルに落ちることになる…。
二度目のデートは、恵比寿にある和食屋さんを予約してくれていた拓実。
ただ正直に言うと、お店のリンクが送られてきた時に「ん?」となった。
まず、初デートの時とお店のランクが全然違ったから。でも別にこれは良い、カジュアルなお店も嫌いではないから。
だがもう一つ、私が気になったのは「拓実の家に近い…?」という点だった。
前回のデートで、住まいは恵比寿だと言っており、どの辺りなのかもうっすら聞いた記憶がある。そのエリアに近いのは、ただの偶然なのだろうか…。
そんなモヤモヤを抱えながら、お店へと向かう。
「ごめんなさい、遅くなっちゃって…」
「いいよいいよ、大丈夫。何飲む?」
「1杯目はビールにしようかな」
「ビールいくんだ!いいね。僕さ、ビールを美味しそうに飲む子が好きで」
「そうなんですか?じゃあ、私のオーダー正解でしたね」
今日も拓実は変わらず良い人だ。だからこそ、気になっていることを早めに聞いてみた。
「拓実さん、お家恵比寿でしたよね?」
「そうそう。ここのすぐ近くだよ。この店、使い勝手が良くて。香澄ちゃんは芝浦だっけ?」
「そうです。ちょっと遠くて」
この返答で、拓実に「あれ?下心はなくて純粋にこのお店が好きなのかな?」と思った。
しかし次の会話で、私のそんな思いは軽く覆されることになる。
「普段、家では何をしているの?」
「掃除したり、ひたすらSNS見たり…拓実さんは?」
「僕はネット配信のドラマとか映画を見てのんびりするかな。家で好きな子と、美味しいワインを飲みながらまったりそれを一緒に見るのが好きで」
― …これって、家に誘う伏線?
でもまだわからない、ただ普段の過ごし方を聞かれているだけなのかもしれない。
でも少しずつ拓実の様子が、おかしくなってきた。
「香澄ちゃんは、そういうの嫌い?家でまったり…みたいな」
家の近くのお店を予約している時点で下心が見え見えだったのに、この会話によって、遠回しに「家でまったりしながら過ごそう」と誘われているように聞こえてきてしまった。
「好きですよ。お休みの日とか、一度も家に出ないで引きこもることもありますし」
「そうなんだ。食事もデリバリー?」
「そうです!もう、ひたすらダラダラして過ごすのが好きで」
「最高だね」
もうこうなると、一刻も早く帰りたくなる。
― どうして、こんなに誘い方が下手なんだろう…。
そう思っていると、お店を出た後にさらにすごいことを言ってきた。
「この後どうする?近くに行きつけの良い感じのバーがあって。もしくは僕の家でワイン飲みながら何か一緒に観るとかでもありだけど…」
― 無理だ……。
どうして待てないのだろうか。
勘違いさせるような言動をしていた私も悪い。でも、ここまでわかりやすく誘われると、もうドン引きだ。こんな誘い方で誰がYESと言うのだろう。
気合を入れて2軒目を用意していたこと。しかもそれが、自分の家への導線にしようとしていたことがバレバレな時点で、100%アウトだ。
「ごめんなさい、やっぱり今日は帰ります」
こうして一目散に私はタクシーに乗り込んだ。
誘うなら、スマートに誘ってほしい。
「センス無さすぎ…」
タクシーの中で、思わずそう嘆いてしまった。
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この記事へのコメント
🤣嘘つかないでくれる、 二軒目行ったでしょう? 高級なお鮨屋に、何時に入店したかは知らないけど24時までいたらマジに迷惑極まりないよ。閉店時間過ぎてるのにいつまでいるんだって。拓実は一軒目もニ軒目も盛り上がったって昨日言ってたよ。